皆様こんにちは!
週末のコラムを担当しています、最高位戦日本プロ麻雀協会の河野直也です!
10月13日に今シーズン初のMリーグ解説がありましたー!
もう緊張しまくりで胸のドキドキが止まらなかったのですが、実況の日吉さんに助けていただき解説は終了。
反省点もいっぱいあったのですが、恐る恐る皆様の声を見てみたら、優しいお言葉をたくさんいただき、感無量でした。
まだまだ至らない点もありますが、出番が来たらいつでも行けるように、研究を怠らず次はもっとより良い解説を皆様にお届けします!
それでは今週紹介する『Mリーガー究極の決断』はこちら!
松本吉弘(渋谷ABEMAS)のベストバランス
10月10日第2試合、トップを取ったのは、松本吉弘だった。
『ベストバランス』
彼がその異名たる所以を見せてくれた一局をとくとご堪能あれ。
東2局、親はTEAM雷電・瀬戸熊直樹
3巡目の南家松本の手牌。
東1局に6400点のスタートダッシュを決めた次局。
ドラのを引き、ピンズがと繋がり形も引き締まってきたが、現状は6ブロック、いわゆるターツオーバーの形である。
浮いている牌のは同じ筋のを持っているため、切った後にやを引いても使用できる。ターツが多い中、手牌進行にはもっとも不要に見えるを切るかと思っていたら、松本が選択したのはこちら
のトイツ落とし!
まずここから筆者が読み取った松本の思考は、
はまだ鳴かないでチャンタの雀頭で使うんだなぁ。
→が重なったら純チャンの雀頭、を引いたら今度は三色だってある。
→を鳴いて交わし手よりも高打点を見据えた一打。
しかし、卓上のヒットマンが見ている景色はそれだけではなかった。
もう一度この瞬間を見てもらいたい。
親の瀬戸熊の捨て牌に注目。
3巡目にしてと河が異様である。
注目すべきは3巡目に切られたが手出しだったこと。
一つ前に切られているが手出しだろうが、ツモ切りだろうが、このが手から出てきていればターツ選択→外しをしていることは確定になる。
筆者は35・46・57のカンチャンを“強”カンチャンと呼んでいる。
なぜ強カンチャンとよんでいるかというとリャンメンに変化する枚数が24や68よりも多いからだ。
このターツを払ってきたとなると‥
・パターン1
リーチを打つための手順であれば、よりもいいターツが揃っている可能性がある。
・パターン2
何らかの手役…ホンイツやチートイツなどを狙っている可能性がある。
このような推測になるだろう。
ここからは松本の本人談。
『瀬戸熊さんが3巡目にしてこの捨て牌。
もちろん真っ直ぐマンズのホンイツに向かっている可能性もあるけど、もしそうならば、二筋にかかってるの方が全方向に対して危険になりうるから、かなり早いパターンや引きを狙ったチートイツとかもあるんじゃないか』
3巡目にしてアンテナを張り巡らせ、早いパターンもあるならば、よりも比較的打ちやすいを一巡でも残しておく選択を取ると。
自身の手牌よりも相手との相対バランスを見極めた、松本の真骨頂ともいえる選択に見えた。
その警戒がより強くなったのが次巡の瀬戸熊の一打。
手から出てきたのは1枚切れの字牌。
このが、といったターツ作りの肝になる牌よりも必要だったということは…?
安全牌候補として持っていた牌の可能性? ホンイツにするため? あるいはチートイツで重ねたかった可能性…?
逆に考えれば、もう安全牌候補を持つスペースがないorホンイツや、チートイツをする為に重ねたかった牌が一枚切れているよりも優秀な牌がある。
皆様、お分かりいただけただろうか?
こう考えると、どの理由であっても、瀬戸熊の手はテンパイに近いんじゃないか?
と推測することが出来る。
実際にを切った
手牌はこちら
盤石のイーシャンテンである。
たった3枚、されど3枚。
この3枚から松本が見た景色は、彼が強者と呼ばれるに相応しいのがよく分かる。