良くできたマニュアルだと思ったのは
「写真は撮らないように事前に言ったハズです」
「確かに言いました」
もう一人が確認のあいずちを打ち、2対1の記録が作られ、私が反論するのはとても難しくなるんです。
紙の記録と2人の証言に対抗できるのは盗撮の映像や音声や動画だけです。
写真や動画撮影は起動音やシャッター音がしないものもあるそうです。
ムーアの法則のおかげで高性能低価格のワイヤレスピンホールカメラもあり、私たちはいつどこで盗撮されているか分かりません。
相手は録音してることを前提に交渉ごとや日常の付き合いをしなくてはいけない時代だとすると、ちょっと寂しいですよね。
私の税金のトラブルは、もちろん私が全面的に悪い。
ところが悪いヤツになら、どんなことをしてもいい、というのはやり過ぎ。
例えば違法な手続きで、違法な金額を取るなど。
先の、情報開示請求をした書類が偽造されたもの物だったりとか。
「偽造って何かの間違いでは?」
とみなさん思うかもしれませんが、ごく稀にはこんなこともあるんです。
私は当初税理士さんを通して税務署と交渉していたんですが、交渉がエゲツない段階に入った時点で、表向きは降りて貰いました。
顧問料と決算料を払いながらアドバイスは受けますが、それを私が聞き入れるかどうかは別。
顧問税理士さんは素晴らしく志の高い方で、
「明白な違法行為なので私もできる限りやりますよ」
とは言ってくれたんですが、実際問題として税理士の先生は、税務署に対してそんなに強く出ることはできません。
単なる噂かもしれませんが、税務署のイジメに遭うそうです。
その税理士の決算書が認められにくくなり、クライアントを失うリスクが生まれる。
逃げたクライアントは、税務署員OBの税理士に流れるとか。
長年勤めた税務署員には、ほぼ無試験で税理士になれる制度があるんです。
彼らのウリは税務署に顔が効く。
私の税理士さんは正義を重んじる人でしたが、一般的には安い顧問料で体を張ってくれる人はいません。
報酬が大きくて、その案件に多少なりとも正義が必要です。
私の場合はどちらも無いので、頼むほうがわがままです。
森友学園の顧問弁護士が辞任したのも、これらの要件が満たされなかったのかと思います。
税理士や弁護士など、プロの仕事は主に
正義を貫くよりも
落とし所を探ることです。
(私見ですが)
以前ここで書きましたが、電気料金回収代行会社と私とのトラブルでは、私が要求しても顧問弁護士はどうしても出てきません。
正義も報酬も落とし所もない。
からです。
「俺は完全な勝利しか要らない」
という人は自分で突撃しましょう。
(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2017年9月15日号)
●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/