これには頭を抱えて悩みます。
前原選手と言えば愚形でも積極的にリーチをかけるタイプの打ち手で、時折見せる打点が安く形も悪いリーチはガラクタリーチと呼ばれています。
このタイミングでの長考に「まさか伝家の宝刀を抜くのか?」と実況・解説陣がざわざわし始めましたが
やっぱりはツモ切り。
親番が無くなった南2局でトップ目とは18400点差。
最低でも満貫の出アガリで出来ることならハネマン以上をツモりたい状況とあっては、このカンテンパイは取れません。
3巡後、引いていたカン。
「あぁぁぁぁ」「やっぱり引くんだよ」「これが前原ですね」そう次々と漏れる負の感情。
まるで取り返しのつかない失敗をしたかのように話しが進んでいましたが、むしろこのは宝の牌でした。
予定通りのフリテンリーチで、ここからが本番と前原選手
高めのを引き当てハネ満のツモアガリで状況を一変させます。
これで一気に600点差まで詰め寄るとトップの沢崎選手から
仏のような表情が出ました。
状況が悪化した時に苦しい表情を見せるのは普通の人ですが、逆に穏やかな表情になるのが沢崎流。
「幸福な人は幸福だから笑っているのではない。笑っているから幸福なのだ」とはフランスの哲学者アランの言葉ですが、沢崎選手も苦しい時こそ笑顔を見せたほうが状況が改善されると考えているようです。
ただ、この表情が出たということは何か嫌な予感もしていたはずで
実際に次局、沢崎選手の親番で前原選手と井出選手に勝負手が入ります。
先にテンパイが入ったのは前原選手で
ペンのテンパイで、今度は余り考えることなくリーチをかけると
仕掛けて追いついた井出選手はここが勝負所と引かない構え。
この天下分け目の決戦を制したのは山に4枚眠っていたを引き当てた前原選手。
裏ドラを開くとそこからもが出てきて、勝ち上がりを決定づける満貫のツモアガリとなりました。
開幕戦となった麻雀最強戦2022ザ・レジェンドで優勝し、最年少優勝界の最年長記録を樹立した前原選手は
「ここまでこれたのは森山会長のおかげ。まだ階段を一つ昇っただけなんで、ファイナルで勝って恩返しをしたいです。」
そう意気込みを語り、ファイナルへと進みました。
日本プロ麻雀連盟所属16年目。
一日中麻雀観るか野球観るか漫画読むかして、たまに寝る。
Twitter:@koshishi0610