トップが欲しい二階堂亜樹とラスを回避したい堀慎吾、 それぞれの思惑がぶつかったオーラスの行方【Mリーグ2021観戦記4／5】担当記者：江嵜晋之介

この時点で亜樹の持ち点は11,500点。
トップの東城まで24,400点の差があるため、トップになるためにはあと２局で満貫・跳満と連続でツモらなければいけない。

勝負の南３局、亜樹は高目跳満のテンパイを入れリーチをかける。

高目三色の待ち。なんと高目が4枚、安目が2枚山に眠っていた。

嬉しいようなもったいないような安目のツモ。
裏ドラも乗らず満貫ツモとなる。

オーラスを迎えた際の点数。
亜樹は2着目の高宮まで4,800点差まで詰め寄っており、2着は充分に狙える位置。しかしトップ目東城とは13,400点差なので満貫では届かず跳満ツモが必要。

そして南３局の亜樹のアガりで厳しくなったのは堀。亜樹と200点差のラス目だ。
トータルトップのサクラナイツだが仮に今回ラスだった場合、最終日２ラスを引くと敗退が濃厚になってしまう。
逆にここでラスを回避できればファイナル進出の可能性は限りなく高くなる。

各者譲れないオーラスが始まった。

南４局

3巡目、亜樹は対子のを落とす選択をする。

打点が必要なためソーズの混一色を狙った一手。
や一通、イーペーコーなどがつけば跳満まで狙える。

対して堀６巡目の手牌。にくっつけば一通が狙える手だが、堀は打を選択する。

亜樹がソーズの染めに向かっているため将来アガりにくくなることを見越した１手。加えの場況が非常に良いため一通は捨てて123の三色で打点を作っていく。

この構想力が見事ハマり、8巡目に狙いのを引き入れる。
堀はダマテンを選択。

そして2巡後を引き入れる。

が4枚見えており出アガりの可能性も十分にある。
待ちを単騎に変更してダマテン続行。打点が5,200点になったので出アガりでも2着になることができる。

そして12巡目、ソーズをひたすら集めていた亜樹にテンパイが入った。

ペン待ち。一盃口がついたのでリーチをかけてツモれば跳満だ。
このリーチ判断は難しい。トップまで狙うならリーチをかける必要があるが、リーチ棒を出すことで一時的に4着まで落ちてしまう。言い換えればリーチをするために21,000点を担保にする必要があるのだ。ダマテンであれば2着を狙いつつラスを回避できる可能性は高い。

しかし亜樹の選択はリーチだった。

今日の一貫したトップ狙いを最後まで貫き通すリーチ。
残り３試合で絶対に１回はトップを取る必要があるが、ボーダーのセガサミーと対戦するのはこれが最後になるため、よりトップの価値が高い試合でトップを勝ち取る考えだ。

しかし非情にも、リーチをかけた時点でアガリ牌は山に残っていなかった。

高宮・東城はベタオリ。残りは堀の選択次第となった。

単騎で粘っていた堀。
亜樹がリーチ棒を出したことで3着になった堀だが、ノーテンでは再びラスになってしまうためテンパイを崩すことはできない。
そして15巡目、ドラのを引いてくる。

堀にもトップのチャンスが到来した。
ドラ単騎でリーチをかければ跳満になるため、トップに届くことができる。堀の選択は…。

ドラ単騎でのダマテンだった！
チームポイント的にトップを取るよりもラスを回避した方がいいと判断しダマテンを続行。も万が一亜樹に当たる可能性を考慮して通りそうな切りを選択。

結果はそのまま流局。

オーラスのリーチ判断が難しかった2人だが、チームポイント状況が明暗を分ける結果となった。