絶望的とも言えるこの状況だからこそ、ABEMASの絆、チームメイトへの信頼が色濃く現れた。
多井はこの期待に応えようとした。
最終戦、実に7回ものリーチをかけ決して最後まで諦めなかった。
最後の親番ではツモればサクラナイツを逆転するテンパイまで作り上げるが、
最後の1牌は多井のもとに訪れることはなく、ABEMASは勝利のシャーレを手にすることはできなかった。
優勝してシャーレを掲げる4人の姿を待ちわびていたABEMASのファンは多いはず。
しかし白鳥と多井が見せてくれたチームメイトとしての絆は、その姿と同じくらい尊く価値のあるものなのではないだろうか。
Mリーグが、我々にもたらしたもの。
それは「チーム戦」という麻雀の新しい価値観だ。
麻雀は1人で他の人と打っても充分に面白い競技。
しかしそこに「チーム戦」という価値観を作り、誰かのために麻雀を打ち、誰かの打牌に祈りを込めることができれば、更に熱くなれる競技にすることができる。
麻雀に限界なんてない、Mリーグがそれを証明してみせた。
明日からは、Mリーグの無い日常。
全国の麻雀ファンと共に、来シーズンのMリーグを心待ちにする日々が始まる。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
Twitter:@EzakiShinnosuke