因縁を、Mリーガーをぶち破れ　原佑典と古本和宏、2人の孤独な戦い #麻雀最強戦2022 【男子プロ因縁の抗争】観戦記【A卓】担当記者：東川亮

古本が山に3枚残りのドラを引き当て、裏ドラは乗らずとも2000は2100オール。3者との差を一気に詰めた。次局には松本とのリーチ対決で放銃に回るが、失点は2600は2900、まだまだ挽回可能な状況ではあった。

しかし南3局、そんな古本を、白鳥のダマテンが襲う。タンヤオドラドラ、7700はあまりに強烈だった。道中の選択を間違えなかった、見事な一局。

逆転の1シャンテンから一気の転落に、古本がしばしぼうぜんとなる。これで古本の勝ち上がりは、かなり厳しいものとなってしまった。

次局、白鳥は原のペン待ちリーチに対し、暗刻落としでしのぐ。しかし、松本にチーテンが入る3枚目のは切らなかった。

そしてトップ目で迎えた最終局は配牌から守備に回る。自分さえ放銃しなければいい。白鳥はどこまでもシビアに打ち回し、通過ポジションから決着を見届けた。

オーラスを迎えて、トップ目が白鳥、2番手が松本。この時点で、原と古本はどちらか、あるいは両方がここで脱落することになった。逆転に近いのは、1000-2000ツモ条件の原。手牌からはリーツモピンフドラ1など、現実的なルートが見える。

逃げる松本は、流局ノーテンで2着勝ち上がりとなる。だが、原と古本に条件が残っている以上、可能であれば一度自力で中打点以上の手をアガり、次局の条件を楽にしたい。手はタンヤオピンフ三色が狙えそうな形、ノーマルに手を進めていく。

松本の手は1シャンテン。アガリだけを見るなら切りとなりそう。ただ、三色になれば打点がついてくるし、無防備になるリーチは打ちたくない。右端にあるは、おそらく一手進んだら切るつもりの牌だ。

松本はまだ、を切らなかった。

直後、原がテンパイ。待ちを選べたが、がないことから待ちに構える。なら三色がついて無条件で逆転だが、はツモか直撃でない限り逆転できない。それでも原は、リーチをしなかった。枚数はの方が多いし、リーチをすれば松本はおそらくオリる。少しでも直撃の可能性を残すための選択。

原にさらなる選択。引きで、待ちをに変化させられる。ならタンヤオピンフドラドラで、どこから出てもOK。待ちが広がったのでリーチでもいいかもしれない。

眉間に手を当てて、考える原。絶対に、間違えられない。

選択は待ちダマテン続行。松本が打つとしたら、ドラ筋よりもだと読んだか。

13巡目、松本はオリるかアガるかの瀬戸際だった。そして、アガるなら高くアガりたかった。そのはざまでバランスを取った、あるいは保留した、打。

それが、決着の一打となってしまった。

古本は全体を通じて、配牌やツモに恵まれなかった印象があった。ただ、それでも一発勝負の最強戦では、結果を出さなければ次には進めない。古本のチャレンジは、ここで終わることとなった。

一方の原は、古本とは対照的にドラが多く訪れたが、それを決定打に仕上げることができていなかった。しかしオーラスでは数々の選択を丁寧に精査し、最後の一撃につなげた。そして古本を置いて、彼は次へと進む。

2人の因縁は、いったんはここで終わった。しかし、彼らの麻雀プロ人生はまだまだ続く。将来、さらに大きくなった2人がまた最強戦の舞台で相まみえることがあれば、それはとてもすてきなことだと思う。