因縁を、Mリーガーを
ぶち破れ
原佑典と古本和宏
2人の孤独な戦い
【A卓】担当記者:東川亮 2022年7月17日(日)
「男子プロ因縁の抗争」というテーマの元、集められた8名。ただ、本当の意味での因縁があると言えるのは、やはりこの2人だったように思う。
原佑典(はら ゆうすけ)
昨年の麻雀最強戦「全日本プロ選手権」B卓戦で、前代未聞の門前清老頭を決めた男。彼の名が知れ渡るようになったのは、決勝卓でも勝利し、ファイナルに進出したことが大きいだろう。勝ったからこそ、その偉業が幾度となく取り上げられるからだ。再び勝利し、さらにインパクトを残すため、「指一本」改め「門前清老頭で有名になった男」が戦いの舞台に臨む。
古本和宏(ふるもと かずひろ)
彼は、決勝で原に敗れた。戦いは古本優勢で進み、彼はオーラスまで大きなリードを保っていた。しかし、ラス親の原の猛連荘で逆転を許す。
追い詰められた古本の、1巡目リャンメンチー。アガリを焦るあまりの仕掛けだが、その後は手が思うように伸びず、原に決定打を許した。あの悔しさを晴らすため、もう原には負けられない。
だが、麻雀は2人でやるものではない。松本吉弘(まつもと よしひろ)と白鳥翔(しらとり しょう)、2人のMリーガーが立ちはだかる。
見るからに、やべー雰囲気が漂っている、いろいろな意味で。原と古本は、この2人も倒さなければならないのだ。
東1局、原と松本にチャンス手が入る。原は役牌のドラがトイツ、満貫が狙えそう。
松本はをポンしており、この1シャンテン。チンイツかホンイツドラドラ、いずれにしてもアガるなら満貫以上だ。
先制テンパイは松本、他家に合わせて白鳥が切ったをチー。アガリやすさで待ちを選択し、ドラのを切ると・・・
当然、原もポンしてテンパイ、待ち。どちらがアガっても、強烈な先制パンチとなる。
15巡目、松本がを引いて手を止める。ソーズの上は自分以外ほとんど切っていない。とはいえ、自身の手が勝負手なのも事実。行き切る選択肢はもちろんあっただろう。
松本は、強烈に押して来ている原に対し、を切ってアガリが取れるとは判断しなかった。ここでを切り、テンパイこそ維持したものの打点を大きく下げる。
を止めたのだから、も切らない。ダブルワンチャンスので、しっかりと守備を固めた。を切っていたら、もしかしたらも打っていたかもしれない。これが松本のバランスだ。この局は原もアガれず、流局となる。
松本は、東2局3本場ではホンイツに向かったところから白鳥のリーチにうまく対応し、原から2600は3500を出アガリする。
東3局1本場では早いリーチで白鳥から2600は2900を出アガリ。
対する白鳥は東4局、まとまった手牌をもらったところから、ドラ受けの孤立牌を切って、シンプルに1シャンテンに構える。
真っすぐ手を進めて待ちリーチをかけると、
リーチツモピンフ裏裏の2000-4000。減らしていた点数を一気に回復する。
やはり、Mリーガーは強いのか。だが、原・古本とてMリーガーの引き立て役として呼ばれたわけではない。劣勢とは言え、チャンスはまだ残っている。
南1局1本場、白鳥がポンから仕掛ける。 一色手か、トイトイか、チャンタ系の手か、はたまた。いずれにせよ相手としては、この仕掛けにピンズや字牌などは切りにくくなる。
戦えるほどの手ではない松本は、字牌を止めて対応モード。
ただ、4番手・最後の親番の古本は、そうは言っていられない。1シャンテンで何を切るか。
古本はを切ってドラ受けを固定。他が伸びてのリーチピンフなどでドラが使えなくなることを嫌った。今は少しでも打点が欲しいのだ。
理想はドラを先に引いてのピンフリーチだったが、これはこれでOK。古本がドラ待ちの先制リーチへとたどり着く。
まだ1シャンテンだった白鳥は、の暗刻落としで早々に撤退。