須貝駿貴、超頭脳と
勇気のリーチ、楽しむ
気持ちでつかんだ
ファイナルへのチケット
【A・B・決勝卓観戦記】担当記者:東川亮 2023年8月13日(日)
麻雀最強戦2023「超頭脳バトル」。各界で活躍してきた麻雀プロではない方々が参戦する、いわゆる「著名人戦」である。麻雀好きの出場者たちが真剣勝負を見せる舞台は、応援する多くのファン・フォロワーを通じて麻雀の輪を広げるための貴重な場。そして我々麻雀ファンと同じ目線で戦うからこそ、その戦いはより感情移入できるものになっているのではないだろうか。そんな選手たちの、熱戦の行方は。
■A卓:QuizKnockを追い詰めた芸人の爪とYouTuberの牙
A卓を制したのは、クイズ集団「QuizKnock」から出場した、こうちゃんと須貝駿貴の2人だった。
こうちゃんは開局から流局を挟んで3連続のアガリを決めて着々とリードを広げ、その後は展開も利してトップ通過。
2位通過となった須貝は、東4局で虫眼鏡、しゅんしゅんクリニックPとの3軒リーチ対決を制して満貫のアガリを決めたのが大きかった。
この局、須貝はが暗刻の2シャンテンで、こうちゃんから切られたドラをスルーしている。役があってドラを鳴いてリャンメン2つの1シャンテンであれば、鳴く人が圧倒的に多いはず。しかし須貝は「リーチが好き」と公言するだけあって門前にこだわり、その選択が最高のアガリに結びついた。
ただ、この局で須貝以上にインパクトを残したのは、リーチ対決の末に満貫の放銃となった虫眼鏡。
手の内はホンイツ三暗刻、自風のも暗刻で、ダマテンでハネ満、四暗刻変化もある手で即リーチに踏み込んだ。虫眼鏡は序盤から愚形でもテンパイ即リーチをかけており、それはもしかしたら、用意してきた作戦だったのかもしれない。結果こそ裏目に出てしまったがアガリ牌は山に残っており、衝撃のアガリにつながる可能性も十分にあった。
そしてもう一人、しゅんしゅんクリニックPは、守備で鋭さを見せた。
東3局、リードしているこうちゃんがチャンタのテンパイで単騎待ちのリーチを敢行。はしゅんしゅんクリニックPの現物。
そのを一発で引かされたが、しゅんしゅんクリニックPは現物で迂回。愚形残りとはいえ親番でドラドラ、くらいはと切ってしまう人も多そうだ。リーチに対してシビアに立ち回る様子が印象に残った。
そしてビハインドで迎えたオーラス、しゅんしゅんクリニックPが逆転条件チャンタ三色のペン待ちテンパイを入れる。ハネ満はどこからでも無条件でアガれるので一発裏ドラ期待でリーチをかける選択もありそうだったが、ここはダマテンでツモか須貝からの直撃を狙う。
その須貝の手からは、があまりそうだった。しかしを引き入れたことで自然とピンズを使う進行に。
天国と地獄が隣り合わせの状況で、麻雀牌は須貝に微笑んだ。ただ、本当に紙一重だった。
敗れた2人だが、初めて挑んだ最強戦の舞台に緊張しつつも、見ている側を興奮させる選択を見せてくれた。本人たちも、悔しさと共に充実感も味わっているのではないだろうか。
■B卓:ビッグパンチは空を切り、囲いは組めず
B卓を1位で通過したのは瀬川瑛子。
決定打が生まれたのは、自身のリーチが2度空振るも親番をつないだ、東4局2本場。ここでは早々にチートイツへ照準を合わせて手を進めると、待ちからドラを引いて待ち変えし、ダマテンを続行。
これが十分形の1シャンテンとなった香川愛生からこぼれ、9600は10200のアガリに。供託リーチ棒2本もさらって大きなリードを作ると、南場でも自らのアガリで局を進めて逃げ切った。
2位通過は麻雀最強戦のイメージキャラクターにもなっている「アカギ」の作者・福本伸行。
点数の面だけで言えば、南1局にアガったツモ三色ドラの満貫が決定打になった。
しかし、思い返せば後の展開を大きく変えたのは、軽く仕掛けてのみでアガった東1局の300・500だった。
このアガリが、親番の森川ジョージにとっては痛かった。
森川の手は、とポンしてのダブトイトイ、確定満貫。これが決まっていたら序盤で一気に主導権を握れていた。その後、森川は何発かジャブを入れはしたが、最後までビッグパンチは決まらず、敗退となった。
そして香川も、最後まで展開に苦しめられた。