自分の力でトップを掴み取る。
振り返れば手が入りすぎたこの半荘、打は友添唯一の自己主張だった。
結果は
テンパイを入れた堀が多井に放銃し、友添の押しは全く関係なかった。
しかし私にはこれぞ魂の一打だと感じた。
全員が襲いかかってくる
オーラス
・多井は役満ツモ条件
・近藤はマンガンツモ条件
・堀は倍満ツモ条件
が残る。
それを受けた親・友添の配牌。
友添はここから…
暗刻のを切る。
下家に鎮座する多井から学んだ、配牌オリだ。
赤なし麻雀においてマンガンをツモられる確率はそうそうない。
ならば半端に手を組んだおかげで直撃されるケースを排除したい。
それが配牌オリの思考である。
──友添くん、君にはまだ早い
3人のMリーガーが牙を剥く!
まずは役満ツモ条件の多井が
一段目に四暗刻イーシャンテンにたどり着く!
残りの牌は全部山に眠っている。
続いてマンツモ条件の近藤も
高目三色になるタンピンリーチ!
さらに倍ツモ条件の堀までもが
裏ドラ条件だが、チートイドラドラのリーチを打つ。
我々は麻雀漫画でも読んでいるのだろうか。
役満・倍満・満貫の条件があった3人が次々と襲いかかっているのだ。
友添にとっては長い長い18巡…
いや、
俺はどれだけ待ったと思ってんだ。
オーディションから1年。
Mリーグができて4年。
プロになって9年。
ずっと憧れの舞台で、強い先輩たちを倒すことを夢見てやってきた。
技術では分からないけれど、魂では絶対負けない。
もうそろそろ報われてもいいころだ。
いや、報われなくてはならない。
全員の手牌は空を切り流局した。
友添敏之、ジャイアントキリング達成!
麻雀技術やプロデュース面、双方で努力している人がのし上がっていく様は、見ていてワクワクする。
友添の魂は年末へ。
もう一度、アフロの躍動が見られるのだろうか。
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」