そしてツモ。
あまりにも鮮やか。裏が1枚乗っての4000オールは、一気にトップまで見える大きなツモ。
不振にあえぐヘラクレスを救うのは、やはり百戦錬磨の烏天狗なのか。
ヘラクレスの楽屋も大喜び。
松本監督も納得のこの表情だ。
楽屋で選手たちが応援している所が見れるのも、この神域リーグの見どころ。
是非色々な視点で楽しんでもらいたい。
南3局1本場、しかしこれで終わらないのが麻雀の恐ろしい所。
白雪のリーチを受けて、天開がを切ってきた。
この5枚見えているは千羽からすれば急所で、鳴いて待ちのテンパイなら十分勝負になる。
何よりヘラクレスはトップが欲しい。ここで親番を繋いでトップを目指したい――。
しかしこのが天開の役牌ドラ3に突き刺さる。
千羽にとって、ヘラクレスにとって、あまりにも痛い一撃。
ファンであれば思わず目をぎゅっと瞑りたくなるような、そんなシーン。
タイミングが悪すぎる。
なんでそんなタイミングで天開にテンパイが入ってしまうんだ。
そんなヘラクレスファンの声が聞こえてきそうだったが――。
――魔法の言葉が耳に届いた。
「お見事なアガリなのじゃ!」
そうだった。千羽黒乃は、そういう打ち手なのだ。
痛くないはずがない。それでも彼女は前を向く、相手を褒める。
その姿勢に、心意気に。多くの人が惹かれて、笑顔になる。
まだ終わっちゃいない。
さあ、オーラスだ。
点差がこのようになった。熾烈な2位争い。
郡道以外は誰がラスになって誰が2位になってもおかしくない状況。
当然場に緊張が走る。
それはリアルの麻雀卓であっても、こうしてネットを通じた卓であっても同じ。
そんなオーラス、まず仕掛けたのは千羽。
なんとここからオタ風東のポン。
役牌を重ねるか、ピンズのホンイツか、はたまたトイトイか。
とにかくメンゼンでは厳しすぎると判断して、前に出る。
怖いはずだ。一応自分は現状2着目で、手牌を短くして放銃に回れば、ラスなんてこともありうる。
けれど千羽は前に出た。
チーム状況を鑑みるとなんとしても2位は欲しい。
チームのため、皆に愛される烏天狗が遥かな天空を目指す。
これを黙って見ているわけにいかないのはもちろん白雪。
現状ラス目で、手牌には役牌の南。
速度を合わせに行くのポン。
南4局は2巡にして急速に場が沸騰していた。
先制テンパイは白雪。
郡道から出たを鳴いてトイトイのテンパイ。
トイトイまでつけれたのはかなり大きな意味を持つ。
白雪は立場上1回アガったとしても次がある。
あまり点差をつけられないと、誰かがツモった際の親被りで捲られかねない。
だがトイトイまでついたこの高目7700のテンパイはアガれば大きな意味を持つ。
これを天開から捉えた!
5800は大きな加点。
2着目に躍り出て、更にはトップまで見ることができる。
アトラスが、またも他チームを引き離すのか。
――ここまでは、そんな展開に見えた。