10月7日(金)の第2試合、渋谷ABEMAS・多井隆晴の巧みなチートイツ攻勢に連続でつかまったU-NEXT Pirates・小林剛は、
残り400点持ちからも必死に立ち回って三者に食らいついていった。
そしてオーラスを迎えたときには以下のような点棒状況になっていた。
東家から、
東城りお 17200
多井隆晴 39500
堀慎吾 29300
小林剛 14000
小林は東城と3200点差、堀と15300点差、多井と25500点差である。
トップ目の多井と堀は10200点差で、堀は現状マンツモでも多井に届かないといったところ。
ここまでの小林の奮闘に、心を動かされた視聴者も多いだろう。
そして終盤、堀がこの形からを放つ。
なぜを切ったか?
このとき東城の手がこの形。
東城はこのポンテンを取らずに見送った。
全体図で東城の手を見てみよう。
堀としては、自身の手が厳しく、そろそろ東城にポンテンを入れて欲しかったと。
理想は東城と自身が二人テンパイで流局、次局でマンガン出アガリトップになること。
また受けもやや苦しくて、ここで鳴かせることで東城の4000オールという最悪の展開を避けたい意図もあった。
さらに、多井の動向が強く、かなりテンパイに向かっている印象がある。
堀の手はポン材を残した方が鳴いて多井に圧力をかけやすい。チーだとこの状況では打点が見えやすく、圧力にならない。
多井がテンパイで自身ノーテンだと、次局はむしろやりたくないくらいだろう。
さて堀の希望に反し、東城が鳴かなかったことを疑問に思った人はいるかもしれない。
ただ全体図からわかるように、は5枚も残っていて、東城の点数からトップを狙うためにはこのスルーは悪くないと思う。
この点差、牌姿なら、残り5回のツモに賭ける価値は十分にあるのではないだろうか。
残念ながら東城の思惑は叶わず、ここで小林がリーチ。
単騎のチートイツである。山に2枚。
東城とは3200点差なので脇からは同点3着。ツモか直撃なら単独3着になる。
これをなんと一発ツモ。
マンツモで文句なしの3着浮上である。
東城はの鳴かずを悔んだかもしれない。
しかし思えば、東城からすればMリーグ屈指の強豪たちとの対戦。
この我慢はむしろ逃げる多井、堀からすれば恐ろしい未来をはらんだ選択である。
結果論でこれを捉えるべきではなく、意見が分かれて当然の判断だと思う。
ここは東城も、400点持ちからここまでの点数を築き上げた小林のことを称えるしかないだろう。
小林の粘りが結果この半荘の大きな印象であり、東城の選択の難しさを視聴者に残してこの対局は終了した。
──かに見えた。
選手たちが立ち上がって控室に戻るとき、小林に多井がこう言ったという。
「よくリーチしたね──」
そして同様に、堀も対局後の私との検討で、
「僕は絶対ダマりますね。剛さんあれ曲げるんだ」
と話していたのである。
点棒状況を再確認しよう。
小林は東城と3200点差、堀と15300点差、多井と25500点差である。
チートイツをダマテンにした場合、
ツモアガリはやはり単独3着。
両脇からダマ1600は変わらないのでアガらない。
東城直撃は同点3着。