・ポンやツモでのシャンポン変化が弱くなった
・日向の目からが3枚見えて待ちが強くなった
・親がドラを切ってきたので猶予が無くなってきた
と、全ての要素がリーチを後押ししてきたのだ。
追っかけてきた高宮とのリーチ対決を
制してリーチ・ドラ・赤・裏の8000は8300をゲット。
あの打ダマは中途半端じゃなくて中庸。
変化を残しつついつでもリーチを打てるように構えるのは、簡単そうで意外とできない選択だな… と感じた。
日向も、初年度では登板を迎える度に「打つのが怖い」と言っていたが、今となっては堂々たる打ちっぷりである。先週の12000オールで取った大トップに続き、好発進となった。
らしさ全開の高宮
流局を挟んだ東3局1本場、高宮の手牌。
絶好のイーシャンテン… はいい。問題は親からリーチが入っていることである。
安全牌は1枚たりとて無いのであらば…
まっすぐ押す!
次にツモってきたのは
。今度はと自分が通したという安全牌が2枚できた。オリるか?
否! 高宮はひるむことなくを押していく。
ドラがなのでは放銃しても安目の可能性が高い。
さらに試練は続く。
両無筋のをツモってきた。安全牌は増えてそろそろオリ時か… と思われたが、高宮は力強くを切った。
魚谷に御用。リーチ・ピンフ・ドラ1の5800の放銃となった。
押しすぎに見えただろうか。
牌図を見てみよう。
魚谷のリーチに通っている筋は6本しかなく、ましてや愚形リーチの可能性も十分ある捨て牌である。
またが3枚見えていてに関してはワンチャンス、そしてラス目であることを考えると、押し引きとしてはギリギリ許容ラインではないだろうか。
価値ある手でバシバシと押していく姿は高宮らしいし、見ていて気持ちがいい。
追憶の勝又
2本場は親の魚谷が1300オールで連荘し、迎えた3本場だった。
ここまで女同士のキャットファイトを傍観していた勝又の出番がやってくる。
勝又はここからを切った。
受け入れ枚数だけで言ったら打が一番広い。
しかしは親・魚谷(上家)の唯一の現物。ドラも赤もないこの手牌では残しておきたい牌だ。さらにを切ることでツモり三暗刻のイーシャンテンに構えることができる。
次巡、勝又がツモってきたのは
裏目となるだった。
いや、これは裏目じゃない。どのみちリーチにいけない手牌である。
勝又はを切った時点で、三暗刻以外にもう一つ手役を見ていた。それは…
567の三色。
魚谷の現物であるを保有しながらも、一歩先の手役を狙っていく。
勝又はこの難解な手牌を前にしても、長考することはなかった。
打牌速度と言えば寿人が思い浮かぶが、勝又も同じくらい速い。
寿人がフォームの決まっている速さだとしたら、勝又のそれは回ってくる間にあらかじめ全てのツモを考えてある速さだ。
「Mリーガーの誰よりも麻雀を打ってきましたから」
あれは、近代麻雀誌上で連載されている「追憶のM」での取材だった。
その取材でわかったことは、頭の出来が違うということと、その頭の出来が違う男が誰よりも麻雀を研究しているということだった。