「打数なら誰にも負けない」
風林火山のエース・
勝又健志を支えるのは
圧倒的な経験と研究量
文・ZERO/沖中祐也【火曜担当ライター】2022年 11月 8日
──この人には一生敵わないかもしれない
小一時間話して、そう感じた。
私だって麻雀プロの端くれだ。たしかにトッププロとは埋められない差があるのかもしれないが、いつかは逆転してやると闘志を燃やしているし、そうでないと麻雀プロをやる意味がないとも思っている。
じゃあどういう相手に一生勝てないと感じるか。それは…
第1試合
東家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:日向藍子(渋谷ABEMAS)
西家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
北家:勝又健志(EX風林火山)
あまり懐いていない猫も、渋々… 超渋々といった表情でご主人さまに身を寄せてくるほどには寒くなってきた昨今の日本。
その日本の中でも浜松町のとある一箇所だけはバッチバチに燃え盛っていた。
高宮の機敏
序盤は女性3人がぶつかり合う。
起家の高宮の手牌。↓
高宮はここからを切った。孤立しているを切りたいところだが、はイッツーのタネである。ドラも赤もない手牌だからこそ手役を残した選択。
しかしその選択が…
裏目に出てしまう。いや… これは裏目じゃない。
高宮は小考し
を置いてを払っていった。イッツーに気を取られていると見落としがちだが、は345の三色のタネでもある。ましてやドラは。
を払うと一瞬4ブロックになってしまうが、かにくっつけての手役を狙うならこの一打しかない。こうして高宮は
イッツーイーシャンテンまで手を進め、すぐに出た3枚目のをチー。
アガリは取れないものの、アガリより高い1人テンパイで親番を維持することに成功した。
黒髪が背景と同化している。
あの打も打も手順としては完璧で、不安な表情で打っていた初年度、開き直って攻め続けた2年目以降とも違う繊細さを感じた。
中庸の日向
東1局1本場。
6巡目に南家の日向がテンパイを入れる。
ドラドラのカン待ち。
そのままリーチを打つもよし、を切ってテンパイを外すもよし。
どちらの道を選ぶかと思いながら見ていたら、日向の選択は…
そのどちらでもない。切りダマ。
それはちょっと中途半端じゃないか? そう感じた人もいるかもしれない。
出アガリの利かないヤミテンに構えるくらいなら、を切ったほうが変化は多い。
をツモってもフリテンながらでリーチを打てる。
しかし切りダマにもメリットはある。変化をピンズに絞ったまま、ポンに備えつつ…
機を見てリーチに転ずることができる!
相手の捨て牌を見てほしい。対面が、上家がドラのを切ったことにより…