その左手は誰が為に 大きな背中に不死鳥の羽を宿し 甦れ近藤誠一【Mリーグ2022-23観戦記11/18】担当記者:後藤哲冶

【7マン】【8マン】【5ピン】【6ピン】の縦重なりも捉えることができる。
見事【7マン】を引き入れて【4ピン】【7ピン】待ちのリーチだ。

これをツモアガって1000、2000の加点。
トッププロの間で「ミスが無い」と言わしめる仲林の麻雀。
このあたりはぬかりない。

続く東3局

10巡目に親の仲林がこの形から【9ピン】を暗カン。
現状手牌がそれほど魅力的なわけではないが、好形のリーチは打てそうだ。

同巡、チートイツで先制テンパイを果たした内川。
カンが入ったこと、自身に2つドラが乗ったこと、待ちの【8ソウ】も仲林の手出し【9ソウ】が少し嫌だが、そこまで悪くないということもあってこれを即リーチへ。

仲林が一発目に持ってきたのは【6マン】
内川には通っていない牌だ。完全にやめるなら、【發】があるが。

【6ピン】
【3ピン】【6ピン】で当たることはなく、【9ピン】を自身で暗カンしており、内川は手出しで【3マン】【4マン】を切っている。
そのターツを払っておいて【6ピン】【9ピン】リーチは考えにくい。
カン【6ピン】も、亜樹が【赤5ピン】を切っていることから出現率はかなり下がっている。
発を引いたり、【1ピン】【4ピン】が埋まれば勝負に出るバランスだ。

一方近藤もイーシャンテンで足踏みしていた。
【6ピン】は今仲林が通した牌で、【7ソウ】がリーチ宣言牌。

ここは打【7ソウ】
【4マン】【7マン】【4ピン】【7ピン】【6ピン】【5ソウ】でテンパイの構え。

そして次巡持ってきたのは【東】
これは亜樹が鳴いている牌だ。

これを手牌に残して打【6ピン】
近藤の視点を見てみよう。

【6ピン】は、全体に対してかなり安全な牌だ。
リーチ者の内川には既に通っており、仲林の現物。
では亜樹に今後当たるケースだが、近藤視点のみ、【5ピン】【8ピン】がどちらもノーチャンス。
【6ピン】の当たり方は、シャンポンか単騎しかなく、亜樹は【赤5ピン】を切っているため考えにくい。

以上のことから、この【6ピン】は、かなり引っ張って良い牌に見える。
それにも関わらず、東を残し、打【6ピン】とした理由。

それはこの浮いている【5ソウ】がかなり危険に見えたからではないだろうか。

前述した通り、内川のリーチは【3マン】【4マン】が手出し。
変則手も考えられるが、もし仮にメンツ手だった場合リャンメン以上が出てくることが多い。
もし仮にリャンメン以上だとすると、ピンズがかなり分断されており、待ちを作りにくく、マンズもかなり通ってしまった。
そんな中2スジにかかるこの【5ソウ】はかなり危険な牌に見える。

変則手だとしても、赤がある【5ソウ】は単騎シャンポン、どちらでも当たり得る。
ドラも絡んで放銃した時の相手の打点も高そうだ。

だから、【4ピン】【7ピン】【6ピン】を引いてきても、勝負しない。ということだろうか。

真実はわからないが――

結果、この【4ピン】でのテンパイを逃してしまう。
手牌の価値は、リーチ赤1でそこまで高くはない。前巡の近藤の下した決断は、我慢だったのかもしれない。

結果、この内川のチートイツが化ける。
ツモって裏ドラを見れば……なんと4枚乗っていた。

リーチツモチートイツドラドラウラ4。
10翻の倍満。
内川がトップ目の亜樹に迫る大きなアガリ。

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