だが確証はない。
もし亜樹がテンパイしていたら順位ウマとオカを合わせて40000点以上の損失となる。
それにこの点差で「亜樹がテンパイに向かわないわけがない」のだ。
仮に亜樹がノーテンで自分がテンパイ宣言をしたとすると、もう一局をやることにはなるもののノーテン罰符で点差は広がる。
いかにこのノーテン宣言が勇気のいるのことか伝わるだろうか。
ただこれは亜樹のミスだったように思う。
本人も「考えてを切った時点で、どうせノーテン濃厚だと思われているので…」と語る。
そんなことはない。
さきほども解説した通り、本田のノーテン宣言はかなりハイリスクな選択であり、少しでもテンパイを匂わせれば高確率でテンパイ宣言してくれる。
たとえば
この上家のをチーしての対子落としをしてみるとか、最終手番でも
適当に通っていない牌(など)を切ってみるだけで、本田はテンパイ宣言していただろう。放銃してしまっても2着は維持できるだろうし、最悪対面に放銃して3着に落ちたとしても、トップの抽選を受けるに見合う勝負と言える。
亜樹は
「どうせノーテンだと思われている」
というネガティブ寄りの考えによってトップを逃してしまったが、それによって得することもある(親番でのチャンタのアガリのように)。
逆に私のように楽観的すぎて痛恨の放銃をすることもある。
理想は今回の本田のように場面に応じてポジティブとネガティブをミックスさせるのが理想だが、それが言うが易しでなかなか難しい。
なにはともあれ
本田はトップダービー独走の6勝目をあげた。
ポジティブループが回っている限り、この勢いは止まらなそうだ。
今や雷電の稼ぎ頭となった本田がポイントを荒稼ぎしていく。
オマケトーク
今回の記事で、一切名前を出さなかったのが
鈴木優である。
実は私はこの日を待ち望んでいた。
ちょうど一年前、私は優の誘いによってプロ復帰を決意。
優の推薦により最高位戦に入会し、それ以降お世話になったり麻雀を打ったりした。
いわば、Mリーガーの中で唯一の身内と言えるのだ。
開幕からずっと応援していたし、私の担当回に登板したら真っ先に取り上げようと考えていたのだ。
タイトルもほぼ決まっていた。
ここまで読んでくれたあなたのために教えよう。
「サウナ室のようにアツい情熱と
水風呂のように冷静な頭と
鈴木優がMリーグをととのえていく」
みんなには内緒な。
しかし麻雀はそう理想通りにはいかないもので、この日の優にあまり見せ場はなく、逆に本田VS亜樹、村上の悲哀が観戦記としては取り上げやすい半荘になった。
そこで私は優を主役としたあれこれを書くのは次回以降にして、今回は一切書かないことに決めた。
この4年間、なんとなく思想の近いドリブンズやPiratesを取り上げることが多かったが、基本的にはどこを応援することもなく、8チームともフラットに接してきたつもりだ。
いわゆる「推し」が初めてできて、登板が楽しみになった。
なんてことない話だが、あまり他人を応援しない私には斬新な体験である。
というわけで優の秘蔵エピソードとともにおくるアツい観戦記は次回以降を楽しみにしていただきたい。
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」