横移動なら? 関係ない。この手で自分で決める。
元より安全牌が続く保証なんてない。
瀬戸熊の眼光が鋭く光る。
「俺は最強位だぞ」
連覇は自分の手で――
掴み取る……!
以上の結果から通過は前原と瀬戸熊の2名に決まった。
内田は終始苦しかった。序盤こそ局に参加することもできたが、終盤はそもそも手にならないことも多かった。
「ここまでやられたら清々しいです」とは本人とは語っていたが、それでも……予選のあの闘牌を見ていた側からすると、絶対に悔しいはずだと思ってしまう。また必ずこの舞台に帰ってきて欲しい。そう思わせてくれる戦いぶりだった。
岡崎は前原への一発放銃が最後まで響いてしまった。
あの状況。前原の凄まじいプッシュを見て、もう少し備えることができたか……。
岡崎は若い。けれど、そんなことは本人も言い訳になぞしないだろう。若き麻雀界のスターは、必ずこの雪辱を果たしにやってくる。
私達は去年、あの劇的な幕切れを見て、瀬戸熊直樹の物語を見たと思っていた。
けれどそれは、まだ途中なのだ。
おそらく、次章のタイトルは――
【悲願の最強位連覇】あたりでどうだろうか。
最高位戦日本プロ麻雀協会47期前期入会。麻雀プロ兼作家。
麻雀の面白さと、リアルな熱量を多くの人に伝えるため幅広く活動中。
Twitter:@Kotetsu_0924
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