オーラス全員集合!勝者・前田直哉も10年老ける、稀に見る僅差の激闘 麻雀最強戦2020「鉄壁のディフェンスマスター決戦!」観戦記【決勝卓】

オーラス全員集合!

勝者・前田直哉も

10年老ける

稀に見る僅差の激闘

【決勝卓】担当記者:山﨑和也 2020年7月26日(日)

麻雀最強戦2020は着々と進行中。本記事では「鉄壁のディフェンスマスター決戦」の決勝卓の模様をお送りする。

予選A卓、予選B卓ともにヒリヒリとした接戦が繰り広げられた。2位までが勝ち抜けという条件戦は非常に面白く、時にMリーグでは見られないような駆け引きが見られる。最後の最後まで楽しめることが多いため、エンタメとしても優れているシステムだと感じている。特に今回は熱かった。もしまだ見ていない人はぜひ予選卓の模様もご覧頂きたければと思う。

それでは激戦を勝ち抜いた4選手を見ていこう。

予選A卓1位 鈴木達也(日本プロ麻雀協会)

予選A卓ではファンタジスタという異名にふさわしい戦いぶりであった。元々人気の高い打ち手ではあるが、さらにファンが増えたことだろう。魅せて勝つスタイルほど応援したくなる。

予選B卓2位 前田直哉(日本プロ麻雀連盟)

2015年の最強位。事前インタビューでの「僕が守備派じゃなかったら誰も守備派がいなくなる」という言葉には痺れた。大陸間弾道ミサイル打法という破壊力も兼ね備えた打ち回しも注目である。

予選B卓1位 近藤千雄(日本プロ麻雀協会)

2016年の最強位。天鳳元十段という肩書を持つ。天鳳プレイヤーの読者は、守備力の重要性を日々痛感していることと思う。当人のツイッターを拝見したところ、対局前の勝負メシは「田中そば」だったそうだ。

予選B卓2位 仲林圭(日本プロ麻雀協会)

キンマwebでの破天荒なコラムでもおなじみ。実力も高く、昨年は全日本プロ代表決定戦を制しファイナルに進出している。今年は入場時のパフォーマンスを封印しており、気合が感じられた。

東1局から。今回は長文となってしまったがご了承いただきたい。

先手を取ったのは親の鈴木。待ちの両面で、はドラ、一盃口で、どちらでアガっても嬉しい。いきなり4000オールということになれば勝ち抜けに大きく近づく。

結果は流局となった。このレベルであればさすがに不用意な放銃はない。ただ、近藤、仲林は両面チーをして、ギリギリまで前に出ていた。もうお分かりだろう。決勝卓は1位のみが勝ち上がれるため、ディフェンスマスター達も少々攻撃的になっているのだ。

東2局では近藤がじっくりと待ちを厳選してのリーチ。待ちに落ち着いた。

前田は自風でドラのが対子という勝負手を得ていた。

その近藤からが出る。

すかさずポンして通っていないを打ち、待ちで追いついた。親の河にが早い段階で切られているので、は通りやすい。この判断が大事だ。をスルーして「安全牌が2枚増えた」というのも守備的ではあるが、それでは親に独走を許しかねないので勝てないのである。

その後、前田はまたも通っていないをツモったが、構わず押す。

そして近藤からが出て、8000のアガりとなった。これで前田が前半でややリードを奪う。以降、東場は大きく点差が動かぬまま南場へと移っていった。

南1局

最初にテンパイが入ったのは近藤。ダブを鳴いてカン待ちとなった。

鈴木は国士無双の手。よく見ると重なりがなく、かなり期待できる。欲しい牌は。しかしは場に1枚、ドラ表示牌に1枚あって、仲林の手に対子だった。

一方、前田も弾道ミサイル発射寸前のところまできていた。を手にしてテンパイ。

ざわ…ざわ…

力強く生牌を切ってリーチ。待ちはと両面より広い。

このリーチを受けて鈴木はオリるかと思いきや、すっとを切った。が4枚河に出ていたので、いわゆる「ノーチャンス」という当たりにくい牌なのである。先程取り上げた前田もそうだが、現物を切ることすなわち守備力が高いとはいえない。攻撃の裏に守備がある。

余談だが、将棋界においてディフェンスマスターというと、木村一基王位が挙げられる。「千駄ヶ谷の受け師」という異名を持つほど受けに定評があるのだが、その名に反して鋭く踏み込んで攻めることが多いのだ。その背景には「反撃されても自陣は大丈夫」という自身の深い読みがあってのもの。実はあの藤井聡太棋聖も守備力が非常に高い。受けの強い者は皆、深く考えているのだ。

話を戻そう。近藤が当たり牌のを掴む。なんとなくを切りそうだが、鈴木はに続いても押していた。はまだ目に見えて安全そうではあったが、は少々攻めている。もしかしたら国士無双をテンパイしているのかとも読める行為なのだ。

少考の末に打。これも前田に通っていないが、前田の第1打がなので、その外側は比較的通りやすいといえる。鈴木もまだイーシャンテンである可能性のほうが高いと読んだのだろう。完全に撤退するのであれば打などがあったが、負けられないという意志が感じられた。

仲林はがあるので安全牌は問題ない。ただ、をもう1枚(全体で4枚目)出すかは考えられるところ。鈴木に「まだ国士の可能性残っていますよ」とアピールさせて鈴木に放銃させるという手段もあるからだ。仲林は次巡に鈴木がを切ってオリたのを見て、2枚目のを切った。地味ながら面白い駆け引きだった。

結果はを近藤がツモり、前田をかわすことに成功した。前田がアガっていたら他の3人は厳しかっただろう。うまく場の均衡が保たれている。

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