”誰もアガらない局”は”見るに値しない局”なのか。流局から見るMリーグ。 【Mリーグ2021観戦記12/17】担当記者:渡邉浩史郎

”誰もアガらない局”は

”見るに値しない局”なのか。

流局から見るMリーグ。

文・渡邉浩史郎【金曜担当ライター】2021年12月17日

この日、二戦目が始まったのは夜10:00を回ろうかという時間だった。

こちらの画像を見れば一戦目の熾烈な争いの様子がうかがえるだろう。

そして二戦目は……

オーラス、内川が劇的な倍満ツモでトップを獲得した。

時刻は11:30、あわや天辺を超えるかというロングゲーム二本立てとなった本日の試合。

そんなロングゲームを引き起こす要因のひとつに流局がある。やはり一局を王牌の最後まで打ち切ると、相応の時間がかかるのだ。

麻雀牌136枚のうち、最低でも71枚が明確な情報として卓上に提示される流局、今日はハイライトで取り上げられることはまずない、そんな流局に注目してこの半荘を見てみよう。

【東2局】

小林が白鳥から大量に点棒を獲得し、親が落ちたこの場面。

二着目、親番東城の配牌がこちら。赤とドラが合わせて三つあり、親番ということもあってまっすぐ進めていける配牌だ。

三着目、内川もマンガンがくっきり見えて、しかも形がいい。

4着目、白鳥は悪くはないが打点が欲しいところ。東城・内川よりは時間をかけることになりそうな手だ。

そしてトップ目小林の手は相当悪い。受けながらの進行になることは必至だ。

この局が長引きそうな予兆が出たのは7巡目。東城がうれしい【4マン】の暗刻で打【1マン】とした場面。

周囲から見たら愚形ターツとはいえ親のドラターツ落としが見えている。内川は二度受け部分を厚く持つ5ブロック進行よりも比較的親に対してましな【8ピン】【9ピン】ターツを残す選択。

白鳥もラス目とはいえ、この巡目二枚目の【發】をポンしてイーシャンテンなら取らざるを得ない。

【6マン】を東城からポンして聴牌。これでトップ目の小林、急所を殺された内川はラス目の仕掛けということもあり、受けざるを得なくなる。立ち向かえるのは親の東城だけだが、いかんせん聴牌受け入れがかなり薄い上にW【東】も絞られる状況に……

しかしここは何とか面前聴牌を入れる。待ち選択は……

カン【4ピン】を選択。【7ピン】が四枚目ということもあり、中筋とはいえカン【4ピン】の形はかなり警戒されるところ。カン【6ピン】とどちらがいいかは難しいところだが、ここはしっかり山に一枚残っているほうを選ぶ。

おまけに白鳥にこの選択を押し付ける。単純【3ピン】【6ピン】はなさそうだが、亜両面やカン【3ピン】はあり得るところ。

ここは自身の手の打点が安いこともあり、リスクリターンを天秤にかけ、降りを選択。

この【5ソウ】で放銃の未来もあったが、ここは東城の意思によって塗り替えられたといって差し支えないだろう。

親が来る兆候・ラス目の仕掛けに子方が受ける・愚形親と安仕掛けの一騎打ち。

流局となりやすい要素がよくわかる一局であった。

【東2局1本場】

先ほどとそこまで状況は変わらず、供託一本が落ちているので普段より少し仕掛けの幅が広がる選手が出てくるかもくらいだろうか。

内川はピンズのホンイツを見て字牌残し。

白鳥もこの形であれば、打点と上がりやすさ両方を見て役牌残しの打【3マン】となる。前巡の【8ピン】切りからもその意思がうかがえるだろう。

当然小林もアガリ役としてこの手なら役牌の重なりを自然と見ることになる。

典型的な”字牌が重くなる場”といったところだろうか。序盤で字牌を打ち出すのは東城だけだったが。

場が動いたのは6巡目。ドラに両面でくっつき、形ができた白鳥。ここで打ち出した【中】を……

内川がポン。ピンズのホンイツへ一歩前進。

小林も形ができて、ここで離した【白】を……

内川がまたもポン。【5ソウ】【6ソウ】の両面落としも見えているだけに、ピンズが色濃く見える河だ。

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