歓喜か絶望か 挑むは村上淳　一牌の後先に、 魂を燃やせ【Mリーグ2022-23観戦記1／20】担当記者:後藤哲冶

多井が小林から出たをチーして逆転のイーシャンテン。
やはり最速最強なのか。多井が強く切り出したが、甲高い音を立てた。

黙って見ているわけにはいかない親の小林も仕掛ける。
をチーしてタンヤオへ。

多井が山に手を伸ばす。
下降気味にあるチームを救うべく。トップを掴み取るべく。

「マンズ……ッ！」

実況の小林未沙が絶叫する。

テンパイする牌ではなかったが、また広くなった。
最速最強の足音は、もうすぐそこまで来ている。

村上も動いた。
多井がツモ切ったをポン。
メンゼンにこだわってはいられない。
もう間に合わない。指をくわえて、トップが手から零れ落ちるのを見るのはもうごめんだ。

全員が前に出た。

このオーラスを制したのは――

小林だった。
親番の小林が1000オールをアガったことで、勝負は続行。
息継ぎさえ上手くできないような緊張感からの解放は、まだ先。

さあ、２本場だ。

多井がを引き入れて思考する。
これでタンヤオピンフ系へのターツが用意できそうになった。
こうなれば多井が選ぶのは。

最大でトップまで見える対子落とし。
多井の目にはまだ頂が見えている。

しかし先制テンパイを入れたのは、絶対にトップが欲しい村上だった。
ペンを引き入れて、カンのテンパイ。

静かに点棒状況を確認する。
リーチツモドラ１は、確かに小林を超えることができる。
しかし出アガリは裏が１枚のった5200ですらギリギリ足りない。
満足のいくテンパイとは、とても言い難い。

村上はダマを選択。
仮にをツモった場合はのフリテンリーチが打てる。
ツモならそのままのツモでもトップだ。

しかしまたしても、一巡にして状況が変わる。

が立て続けに打たれ、引きでの変化が弱くなった。
現状嬉しい一手変化は、もうのみ。
で、あれば。

「リーチ」
強く、村上が発声した。

もう、報われてもいい頃だろう。

残っているのは、が１枚だけ……！

多井が追い付いた。
最後まで村上の前に立ちはだかったのは、盟友多井。
しかしリーチ棒が出たことで、村上は出アガリ5200でもトップになる。
待ちの枚数は、１対１。