たとえ手折られようとも心までは折れぬ…… 鈴木たろう、大寒波に咲かせる一凛の花【Mリーグ2022-23観戦記1/20】担当記者:渡邉浩史郎

たとえ手折られようとも
心までは折れぬ……
鈴木たろう、大寒波に
咲かせる一凛の花

文・渡邉浩史郎【金曜担当ライター】2023年1月20日

第1試合

東家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
南家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
西家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
北家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)

今年もいよいよ都心に本格的な冬が到来。寒さが厳しい時期になってきた。

一方でMリーグはいよいよレギュラーシーズンの2/3を消化といったところ。冬の寒さを感じさせない熱戦が繰り広げられている。

ABEMAS一強と言われていた昨月初めのチームランキングと比べてみると、その熱戦具合がうかがえるだろう。

その中で冬の時代を迎えていると言わざるを得ないのがドリブンズとフェニックス。
しかしそんな冬のチーム達においても、その内情は全然違う。

フェニックスは昨シーズンの準優勝チームだ。仮に今期レギュラーシーズンで敗退しても選手入れ替えの義務は発生しない。このプレッシャーの有無は大きいだろう。
また、チーム的にも東城が印象のいいトップを取っていることから、そこまでどんよりとしたムードを感じさせない。

一方のドリブンズは、誤解を恐れずに言えば「悲惨」の一言。
あまりに自チームに悪く向く展開、いまだトップが取れない村上、唯一好調の園田でさえ目の前でトップが零れ落ちていく。と、なかなか前向きになれる要素がない。
チームメンバーの入れ替えという明確なプレッシャーが迫る中でのこのポイント状況。

まずは目の前の暗雲を打破するため、ゼウスたろうが一戦目名乗りを上げた。

【東1局】

まずはあいさつ代わりに親番で2副露。軽く1300オールで連荘。

続く一本場、端に寄りすぎているが故に逆によく見える配牌。

1副露目は完成している面子を壊す【9ソウ】ポンから!
この手のマックス打点、チンロウトウは逃さないという判断だ。たろうらしい欲張りな仕掛け。

【8ソウ】が重なるなら、渋々トイトイ三色同刻トイトイW【東】のマンガンでも許すよといった思考。

……所詮その程度が凡人の限界点。

神の思考領域は……

はるかに凌駕する!
衝撃の【8ソウ】スルー!

チンロウトウをアガりたいのはもちろんのこと。もう一つの意図はここでの【8ソウ】ポンは自身の仕掛けが舐められる要因になるという判断だろう。

仮にドラの【發】が対子以上だったりトイトイ・チートイ系の手牌だとして、わざわざ二巡目【7ソウ】【8ソウ】【8ソウ】【9ソウ】【9ソウ】の形から【9ソウ】ポン打【7ソウ】に行きつくだろうか。対子手だとしても門前で面子手との両天秤もありそうなため、ケースとしてはトイトイと役牌を絡めた中~高打点の形だろう。
しかし、既に暗刻が二つ以上できているケースであればそれこそ四暗刻や面子手を見ての面前進行で進める可能性が高そうなため、よくて手の内に暗刻が一つ程度。

といった具合に、レアケースとして早い高い手牌も考えられないことはないが、たろうの仕掛けということを考慮するとやはり打点を見に行った遠い仕掛けと他家三人には思われるだろう。

「足元を見られたくない」という解説:土田の発言が実に的を射ている。ブラフ仕掛けはしないが、他家にどうみられるかは意識する。「ゼウスの選択」が異彩を放っている。

脇が引き気味とみるや、この形から【9ソウ】をカン!
聴牌を演出して、あとは自分のツモと勝負の構えだ。

しかしここに切り込んでいったのが瑞原! 仕掛けの主がたろうということを考慮して、果敢にドラを切っての三面張リーチに踏み込んだ!

これにはさすがのたろうも引かざるを得ない。ここは瑞原の一人聴牌で流局という形になる。

ここから東場の親で誰かが爆発。ドリブンズはどうしてもトップが欲しいため大振りにならざるを得ず、結果として2着をも取りこぼすというのが、典型的ジリ貧の展開だが……

今日はさしたる爆発もなく、【東4局】でたろうはこの好配牌。

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