内川、万事休すか。
と、思われたが、
この男が奇策に動く。
松本がドラのを切って下家の内川にアシストする。
勝又が2枚目のを切った後に内川は手出しが入っていないのでロンの可能性は無い。
かつ3枚目のなのでポンはされない。
勝又がドラのを切ってきている以上はテンパイ、もしくはイーシャンテンなのは明白である。
ならば放銃の可能性が無いドラのを切って内川にアシストをすることで
勝又への牽制効果や、内川のテンパイ連荘で次局の自身の逆転チャレンジの機会を作りたいのだ。
松本の狙いも見事にハマった。
内川が急所になっていたカンの部分を解消しテンパイを入れる。
内川もまたこの上なく嬉しいテンパイを組むことが出来た。
其々の想いが交わった麻雀交差点。
そこで生まれた内川の2000は2200オール。
どん底からの生還。大きすぎる3着浮上だ。
松本も供託が無くなり次局の倍満ツモ条件が消えたが、勝又のアガリを阻止して僅かな望みを繋げた。
勝又の自力でトップを決めに行く鬼の押しもまた素晴らしかった。
136牌の後先に其々の想いを足して起こすミラクルプレーの応酬に感動せずにはいられない半荘であった。
総局数21局の長丁場。
全20本のリーチ棒が舞う中、壮絶なアガリ競争を見事にトップで走破したのはEX風林火山の勝又健志であった。
極上の攻守バランスや、心理戦略が冴え渡るまさに軍師ならではの天晴な勝ちっぷりであった。
第1試合終了地点で麻雀格闘俱楽部に一度は開け渡した首位の座を直ぐに取り返した。
勝負もいよいよ後半戦に突入する。
EX風林火山はこのまま
「動かざる事山の如く」
首位の座に居座ったまま、今シーズンを走破出来るのか。
要注目である。
最高位戦日本プロ麻雀協会46期前期。九州在住のプロ雀士。
麻雀と愛猫(ピンフ)を愛してやまない。嫁の小言にはベタオリ気味。
著書:最高位戦コラムFACES
Twitter:@aktk0207