神を討つのも、また人外── 鈴木たろうを屠る魔物たちの狂宴【須田良規のMリーグ2022-23セレクト・1月27日】

そしてやっと、堀がペン【3ピン】を鳴いてフリテンイッツーのテンパイ。
余る【3ソウ】【4ソウ】が4枚見えになってもう打ちやすくなっていた。
危険牌は決して打たず、見栄えは悪く安くとも。

唯一と言っていい、アガれる形を作った会心の手順である。

多井もここでテンパイ。
【9ソウ】が3枚切れでやはり【6ソウ】の場況がいいため、【赤5ソウ】を残してのカン【6ソウ】だ。

次巡に多井は【4ピン】をアンコにして【赤5ソウ】単騎の6400変化。

どうなってるんだこれは──!!

2巡目のチートイツドラドライーシャンテンの場は食い荒らされ、自分以外が全員テンパイ。
【東】は小林に当たり、【5ソウ】は多井に当たり、【6ソウ】は先ほどまで多井に当たりでやはり危険。

たろうは鮮血の【赤5マン】を放った。

追い込まれた神の意地か、確かにこれが一番マシな牌だった。

そうして堀が──、舐めるようにフリテンのその牌を引き寄せる。

人を食ったような、フリテンイッツーのゴットー。

たろうがそのアガリを睨みつける。

小林と多井も、この局を制するのは自分だったのにと言わんばかりに、口惜しさを噛み殺す。

狂宴の残骸を卓に流して、一流たちの戦いがまた始まった。

無限に見ていたかったこの対局は、堀が逃げ切る格好でトップ。
たろうは3着でさらにチーム状況は厳しくなったが──、
そういった、全ての付随する環境や条件など私たちが忘れるほどに。

ただただ純粋で、濃密な勝負というものに。
酔い痴れた夜だったのではないだろうか。

 

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀新刊&おすすめ/