「お前たちはまだ戦える──」天はまだドリブンズを見放さない 園田賢に訪れた、メークドラマの兆し【Mリーグ2022-23観戦記1／30】担当記者:江崎しんのすけ

園田はを引くが、ツモ切り引き続きヤミテンを続行。

次巡、魚谷は打、滝沢は打。

これで2人ともリーチを受けてから現物ではない字牌のトイツ落としで回っていたことが確定し、現物のを持っていない可能性がグッと高まった。

を誰も持っていないことに確信をもち、園田はをツモ切って追いかけリーチをかける。

できることは全てやってのけた。

この試合に至るまでも、さんざん牌に弄ばれ続けてきた園田。それでも決して諦めることなく、考えられる選択肢の中でベストを尽くしてきた。

そんな園田を、天はまだ見捨てていなかった。

次巡、園田に訪れた2p。
リーチ・ツモ・タンヤオ・一盃口・ドラに一発がついて6,000オール。

ドリブンズにとって、まさに僥倖のアガリとなる。

がリーチをかけた次の巡目にあったことは、言うまでもなくただの偶然でしかない。しかし、これまでもがき続けてきた園田が手に入れたこのを、偶然の一言で片づけてしまうのは、余りにも軽い気がした。

これが、結果として園田のトップを決定付けるアガリとなった。

南2局・南3局では2着目だった魚谷から猛追をうけ、オーラス突入時には3万点あった点差がなんと5,700点になっていた。

しかし、3着争いをしていた小林・滝沢のめくり合いを受け、魚谷は途中でオリを選択。

滝沢が裏1条件のリーチをツモるも、裏は乗らず着順変動は無いまま終局となった。

ここで注目してほしいのがオーラスの5,700点という点差だ。

もし南2局で園田がダマテンに構えず即リーチをかけていたとすると、6,000オールではなく4,000オールのアガリになっていた。
4,000オールだった場合、オーラスでトップ目に立っていたのは園田ではなく魚谷で、逆に2,300点の差をつけられていたことになる。

そうなると、オーラスのアガリ競争に園田も参加しなければならず、オーラスの園田の手を見るに、全く違う展開、はっきり言えば園田がトップをとるのは難しかったのではないだろうか。

結果論でしかないが、あのダマテンに構えた2巡がなければ、園はトップになっていなかったのだ。

いつも通り、明るくインタビューに応える園田。
今年に入ってからトップが無かったチームに1勝目を持ち帰ることができ、遠くに見えるセミファイナル進出に一歩近づいたと言える。

ドリブンズの道のりは引き続き険しい。
もしかすると来年の今頃、このメンバーで戦うことができていないかもしれない。

ただそれでも、ドリブンズのやることに変わりはなく、そして幸運は最善を尽くした者の前にしか訪れることはない。

「お前たちは、まだ戦える」

逆風の中最善を尽くさんとするドリブンズに訪れたあのに、ドリブンズを見捨てていない天からのメッセージを感じたのは私だけだろうか。