【西原理恵子 & 山崎一夫】事実の判断と価値の判断!

事実の判断と
価値の判断

麻雀が絶不調。

3ラスでアガりは3900のみ。
半チャンあたり1300点のドツボで万両2回という惨状です。

私の場合、毎日各店舗を移動して打っているので、移動中に前のことは忘れている事が多い。
でもさすがに次の店でもラスなのはガックシです。

その次の半チャンはラス逃れが主眼になってしまう体たらく。

「山ちゃんはいくら振ってもリーチ手が入るよな」

年配の常連さんに言われたことがあります。

単に過去の事は忘れてリーチをかけまくっていただけですが、当時は放銃するとツカなくなるという考えが主流だったからです。
アガりグセという用語が今もあるかどうか知りませんが、放銃が続いた後は安くてもアガってツキを取り戻すという考え。

「タンピン2000点、よーしツイて来た」

とかね。

見えてる結果が正解の時代です。
私のラス逃れを意識した麻雀は、50年前に回帰したかのようでした。

調子が出て来たのは2日後。
配牌はタンピン形で赤やドラも多めが続きました。

よし本調子になって来た。

冒頭に書いた絶不調は偶然で、直近のバカヅキが実力に近いんじゃないかと思いたい所ですが、これも昔の感覚でしょうね。
牌の巡りあわせは偶然ですが、プレイヤーの戦略は対人ゲームでは必然になることがあります。

50年前の打ち手がアガりグゼを付けようとして安アガリやダマにしてくれれば、アガりグセなど無視するリーチ派は少し有利。
同じように今でも、強そうなメンツと打って、リーチに振りこんで貰えないのが続くと、メンツを過大評価しがち。

「5800ならダマで確実に2着確保、そこからトップ狙い」

リーチでアガり確率を意図的に下げなかったのも、可能性が高そうな、トップへの2ステップもたいてい間違ってると思います。
私はパチンコの仕事をメインにしていたことがあります。

かつては一発台という機種があり、一発入賞穴に飛び込むだけで一万円分の出玉がゲットできる。

 

玉を3千発打ってクリアできるかどうかの超難関でした。

一般的なお客さんにとっては延々外れ玉を打つのはつまらない。
そこで登場したのが、2段階抽選や3段階抽選の台。

最初の命クギを抜ける確率が緩くなったので大人気になりました。

2段階目クリア、3段階目の最終ステージの結果がでるまで、長めの楽しみが続くんです。
でもプレイヤーが有利になったワケではありません。

人気台はクギを締めてもお客さんが付くので却って不利なくらい。

ここでは命クギを第1段階としましたが、実際にはそれ以前に多くのクギをクリアして命クギに辿り着かなくてはいけないので、見た目よりもはるかに多段階です。

麻雀もそうですが、2段階3段階は思った以上に困難です。
ベテランは、三色目をより多くより早く見つけることができますが、完成はマレです。

小さな三色目に気付くのは素晴らしいことですが、アガり自体が遠くて、さらに高め高めの牌が必要となればけっこう難しい。
でもそれが麻雀の楽しみだし、とても価値あることだと思います。

たとえ完成しなくても、脳ミソの活性化には大いに貢献してくれるんです。

 

日常生活も
多段階抽選?

かつて世界の経営者が尊敬する経営コンサルタント兼社会学者にピーター・ドラッカーがいました。

「経営者にとって従業員はコストでは無く資産である」
と喝破した人物です。

「勤務先の平均寿命は、労働寿命よりも遥かに短い。転職や起業できる能力をつけなさい」
など経営者だけでなく、多くの人たちに影響を与えました。

前者は当時の価値の判断を覆す提言で、後者はやはり当時の常識と違った事実を教えてくれました。
勤務先が潰れるなんてなかなか想像できませんもんね。

でも半世紀前にあった会社が今もあるかどうかを振り返ってみると、ドラッカーの言う通りです。
実家の小作農家はとっくに無し。

父親と一緒に働いた大きな鍛造工場(鍛冶屋)も無し。
大学時代のバイト先のグランドキャバレーも無し。

渋谷のエムパイアという店だったんですが、20人編成のビッグバンドが演奏できるほどの大箱で、在籍ホステス数百人、ダンススペースがあるんです。

もちろん潰れるなんて考えた事もありません。
高田馬場で勤務した大手パチンコ店は健在。

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