最後に、彼女についても触れておきたい。今回の観戦記に、茅森早香の名前が全く出なかったことにはお気づきだろうか。
もちろん、記事を構成する上で意図的にそうしたところもある。ただいかんせん、茅森はこの試合、本当に手が入らなかった。親番でのシャンポン待ちリーチがあったにせよ、まともに戦えないから守備的にならざるを得ず、故にアガリも放銃もゼロという、消化不良な一戦になってしまった。もちろん麻雀にはそういうこともよくあるのだが、それが今でなくてもいいではないか、というフェニックスファンの思いもよく分かる。残り14戦、フェニックスが再び羽ばたくために、茅森の爆発力が必要になるときは必ず来るはずだ。そのときには、この日ためこんだフラストレーションを思うぞんぶん打点に変えていただきたい。
皆さんの愛情が、選手たちの力となる
今シーズンの山場と目された1日は、ドリブンズの連勝で終わった。ポイント差がグッとつまり、いよいよどこが生き残るか、どこが散るか、予測不能な展開になってきつつある。特に、この日対局した4チームのファンのみなさんはきっと、気の休まらない日々を過ごすことだろう。
もちろん、試合中の応援の声が直接選手に聞こえることはない。
応援によって積まれている麻雀牌が変わることも、99.999%ないだろう。
しかしそれでも、ファンの皆さんには最後まで熱く温かく、選手たちを応援していただきたい。
直接でも、配信やSNSを通じてでも、きっとその声は選手に届き、力となる。
チームや選手を信じる気持ち、愛情は、きっとMリーグをさらにかけがえのないものにしてくれるはずだ。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。