泰然自若・黒沢咲のセレブ麻雀は 正念場でこそ輝きを放つ【Mリーグ2022-23観戦記3/9】担当記者:東川亮

南1局、優は多井のリーチを受けつつ1シャンテンに。一見マンズの形が良さそうに見えるが、すでにまわりの牌が多く切られており、くっついても最終形はあまりよくならなさそう。

それでも、安全に行くなら今通った多井の現物【4ピン】を切ればよかった。しかし優の選択は強気の【6マン】切り。ソーズ4連形と【4ピン】くっつきに活路を求める。ここもドラ3赤で、打点の後押しがあった。

【3ソウ】を引き入れて、シャンポン待ちリーチ。ツモれば三暗刻で倍満からという大物手。

親番の園田は、なんとか粘ろうと思考を巡らせていた。現状ラス目、このまま親を落とせば、自身のラスはかなり現実的となる。そしてそれは、チームが敗退へとさらに追いやられることを意味する。

どうにかしたくても手の内はバラバラ、かつ危険牌だらけだった。アガリは諦め、それでも放銃だけは回避しようとスジを頼ったのが、

優へ8000の放銃。最悪の結果へとつながってしまった。

https://twitter.com/yu_suzuki_ABC/status/1633835668966367232

優はこの試合、セミファイナル以降を見据えて強い気持ちを持って試合に臨んだという。黒沢までは届かなかったが、決着をつけるのはここではない。さらに先の戦いを、彼は、彼らは見据えている。

そして、勝者と敗者が生まれる

南4局は、園田のリーチに対して各者が対応。黒沢は道中でテンパイを入れ、最後まで維持することができたが、

流局後、手牌は伏せられた。もちろんテンパイを宣言して点数を稼ぎ、さらにポイントを伸ばしに行く選択もあったが、一方でその道の先には優の逆転、あるいは多井や園田に逆転の役満が入る未来もあるかもしれない。

リスクを負うのではなく、黒沢は手の内にある確かな勝利を握りしめた。

そしてその選択は、ドリブンズにさらなる重い枷を課した。

残り6試合、ドリブンズは、ボーダーに位置する6位の雷電まで、およそ360ポイント差。
無論、数字上の可能性は残っているが、置かれている状況は極めて厳しくなったと言わざるを得ない。勝負である以上、必ず勝者と敗者が生まれる。そこで繰り広げられるドラマは、ときにエモーショナルで、ときに残酷だ。フラットにMリーグを見ている立場として、この日の結果にはある種の寂寥感を覚えた。

もちろん、各チームを応援されている方は、そんな思いを持つ必要などない。
雷電ユニバースが、この日のデイリーダブルに格別の思いを抱くのは当たり前のことだ。雷電とてここからの戦いには重たいものが懸かってくるが、きっとその指が示す先には、目指すべき道が広がっている。

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