南1局、優は多井のリーチを受けつつ1シャンテンに。一見マンズの形が良さそうに見えるが、すでにまわりの牌が多く切られており、くっついても最終形はあまりよくならなさそう。
それでも、安全に行くなら今通った多井の現物を切ればよかった。しかし優の選択は強気の切り。ソーズ4連形とくっつきに活路を求める。ここもドラ3赤で、打点の後押しがあった。
を引き入れて、シャンポン待ちリーチ。ツモれば三暗刻で倍満からという大物手。
親番の園田は、なんとか粘ろうと思考を巡らせていた。現状ラス目、このまま親を落とせば、自身のラスはかなり現実的となる。そしてそれは、チームが敗退へとさらに追いやられることを意味する。
どうにかしたくても手の内はバラバラ、かつ危険牌だらけだった。アガリは諦め、それでも放銃だけは回避しようとスジを頼ったのが、
優へ8000の放銃。最悪の結果へとつながってしまった。
https://twitter.com/yu_suzuki_ABC/status/1633835668966367232
優はこの試合、セミファイナル以降を見据えて強い気持ちを持って試合に臨んだという。黒沢までは届かなかったが、決着をつけるのはここではない。さらに先の戦いを、彼は、彼らは見据えている。
そして、勝者と敗者が生まれる
南4局は、園田のリーチに対して各者が対応。黒沢は道中でテンパイを入れ、最後まで維持することができたが、
流局後、手牌は伏せられた。もちろんテンパイを宣言して点数を稼ぎ、さらにポイントを伸ばしに行く選択もあったが、一方でその道の先には優の逆転、あるいは多井や園田に逆転の役満が入る未来もあるかもしれない。
リスクを負うのではなく、黒沢は手の内にある確かな勝利を握りしめた。
そしてその選択は、ドリブンズにさらなる重い枷を課した。
残り6試合、ドリブンズは、ボーダーに位置する6位の雷電まで、およそ360ポイント差。
無論、数字上の可能性は残っているが、置かれている状況は極めて厳しくなったと言わざるを得ない。勝負である以上、必ず勝者と敗者が生まれる。そこで繰り広げられるドラマは、ときにエモーショナルで、ときに残酷だ。フラットにMリーグを見ている立場として、この日の結果にはある種の寂寥感を覚えた。
もちろん、各チームを応援されている方は、そんな思いを持つ必要などない。
雷電ユニバースが、この日のデイリーダブルに格別の思いを抱くのは当たり前のことだ。雷電とてここからの戦いには重たいものが懸かってくるが、きっとその指が示す先には、目指すべき道が広がっている。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。