減点法の男、鈴木優に私の絶賛なんぞは届かない Piratesの剣ヶ峰で見せた後悔とは【Mリーグ2022-23セミファイナル観戦記4/18】担当記者:ZERO / 沖中祐也

4000は4200オールのツモ。
水回りの大切さを身に染み込ませていく。

焦点の一局

南2局3本場、マイナス11600点と炎上している松本の選択が凄い。

ドラをツモってきて何を切るか。

【4マン】しか切る牌がありませんが」
と解説の藤崎が語る。

対面の渋川からリーチが入っている。
現状は【4マン】【7マン】【7ソウ】のくっつきで、どうくっついても【4マン】【7マン】のどちらかは出ていくことになる。それならば567の三色を残して【4マン】を切るのがベターか。

【7ソウ】はドラだし、ツモ【2ピン】やツモ【4ソウ】【7ソウ】なんかのテンパイも悪くない。
しかし… 松本は

静かに【7ソウ】を押した。
これは単純に自己都合だろう。
松本視点で【6ソウ】が3枚見えており、【7ソウ】のくっつきはあまりよろしくない一方で、マンズにくっつけばかなり勝算が見込める。

放銃マシーンと化してしまった松本の意地。
この意地の打【7ソウ】が運命を変えた。

次巡、優の手牌。

完全にオリている中で、松本の押しに目を光らせる。

──松本は絶対リーチにくる。共通安全牌の【西】はとっておきたい。
こうして、松本がギリギリ切らなかった【4マン】が場に放たれた。

 

痛恨の8000は8900の放銃。

優は検討配信でこの放銃を10分以上かけて反省した。

たしかにきたるべき松本のリーチに備えておきたい。

でも松本が延々とテンパイしないことだってある。
それまでに渋川がツモることだってある。
松本の宣言牌や渋川の切る牌で安全牌が増えることだってある。
仮に安全牌が尽きても【西】以外に【東】【9ソウ】といった比較的マシな牌だってある。

来るかどうかわからない危険に備えるよりも、今確定している渋川の危険(リーチ)を優先させるべきだった。【4マン】はカンチャンにしか当たらないとはいえ、カンチャンに当たるのだ。

優と渋川による二転三転としたデッドヒートは、この放銃が終着点となってしまった。

南3局で松本が6000オール、12000は12300と猛追、オーラスでは松ヶ瀬が2600オールをツモリ2着の優にチャージをかけるも

優は最後で2600は2900をアガリ、最悪の展開は免れた。

減点法の男

あの【4マン】放銃はたしかに悔やまれる。

しかし起こってしまったことは仕方ない。
誰にだって後悔の残る選択はある。今日の松本だってそうだ。

「強い人はミスをひきずらない」
という言葉を大切にする優は痛恨の放銃を一旦忘れ、目の前の手牌に集中し、2着を死守した。

私はフォローのつもりではないが
「たしかに打【4マン】はミスだったかもしれないが、ノータイムタンキコロコロなど随所に凄さをみせた」
と言葉をかけたが、全く優の耳には届いていないようだ。

優は言う。
「100点の麻雀があったとして、それが120点にはならないと思っている。」

なんと優は減点法の男だったのだ。
「今日の反省を経て、次に同じ失敗をしないようしっかり反省したい。これからも麻雀人生は何十年と続くのだから。」

負けず嫌いの男は悔しさをあらわにしながら席を立った。
負った傷をしっかり受け止め、次なる戦いへと活かすために。

優さん、また水回りをキレイにするところから始めようぜ。

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