光輝くシャーレはすぐそこだ！　5度目の正直へ、多井隆晴の挑戦が始まる【Mリーグ2022-23ファイナル観戦記5／8】担当記者：徳岡明信

何とここで親の萩原からダブルリーチが入る。
6枚残りの、ツモるのも時間の問題か、

いやいや、気合十分なのは萩原だけでは無いぞ。
多井が丁寧に迂回した後に何と同じでテンパイ。
ドラも赤も手の内には無いが多井もさっきのお返しとばかりに果敢に追いかける。

このオナテン対決、制したのは…

またも多井だ！
見事にを引き勝って700/1300ながらも萩原のダブルリーチを掻い潜った価値あるアガリを生んだ。

少し場が進んでの東4局1本場

ここまでなかなか出番の無かった松ヶ瀬にもようやくアガリ番が。
6000は6100オールのアガリを決めて一気にトップ目に躍り出る。

各者が激しい気合を前面に出して戦う中、松ヶ瀬は冷静に淡々と戦っている様に見える。
まさに「静かなること林の如し」
この繊細さ、ファイナルでも充分に発揮してチームを2度目の優勝に導けるか。

続く東4局2本場

ここまで1人だけ置いてきぼりの展開となっている伊達。
赤ドラのカンリーチを打つ。
この手をアガってトップ戦線に食らいついていきたいところだが。

ラス目のリーチということもあり各者対応していたが
多井が終盤にテンパイを果たす。

まずだが、場に5枚見えで目に見えて残り3枚しかない。
しかし裏を返せば残り3枚は誰も使っていなそうだ。

伊達は序盤にを手出ししていてソーズの上は持っていなさそうだ。

萩原もを序盤に処理していている。
伊達のリーチに対してオリているがは合わせていないので手の内に残っている事は無さそうである。

松ヶ瀬も萩原と同様だ。既にの処理は終わっていそうである。(稀にノーチャンスの情報を与えないように4枚目のを持っている可能性もある)

山に3枚いるのなら勝機ありと踏んだ多井はここでリーチに踏みきった。

これが強者の選択だ。
ただ回っているだけでは無く、勝機のある勝負は果敢に仕掛ける。

そして見事にハイテイで力強くツモリ上げて2000/4000は2200/4200のアガリ！

完璧な勝負所の見極めを見せつけてアガりきった多井。
こうやって幾多の勝負所を制してきて今この舞台に立っているのであろう。
多井の強さが滲み出た鳥肌ものの1局であった。

南2局、浮上のきっかけを作りたい伊達。
ドラのが暗刻の待ちリーチ。この手は何としてもアガリたい。

役無しでテンパイしていた松ヶ瀬。
赤含みで変化も豊富にある手だが、ここは状況が許さないといった所か。
を中抜きしてオリに回る。
ここでも松ヶ瀬の特徴である繊細さが目立った。

対照的に伊達のリーチに対して攻めの姿勢を見せるのが萩原だ。

オタ風のを暗カンして形は充分のイーシャンテン。
序盤から見せていた攻めの姿勢。
押し返せる形であれば一貫して戦う。

多井が萩原のやる気を察知して撤退する。
自身も押し返せそうな手牌だったが、この後飛んできそうな萩原のリーチに対しての安全牌を確保する。
この押し引きバランスも多井の強みの一つである。