誰が君を責められようか 戦え伊達朱里紗 過去を振り切る大きな1勝【Mリーグ2021-22 セミファイナル観戦記4/5】担当記者:ZERO/沖中祐也

誰が君を責められようか

戦え伊達朱里紗

過去を振り切る大きな1勝

文・ZERO/沖中祐也【火曜担当ライター】2022年4月5日

【第1試合】

東家:茅森早香セガサミーフェニックス
南家:沢崎誠KADOKAWAサクラナイツ
西家:勝又健志EX風林火山
北家:伊達朱里紗KONAMI麻雀格闘倶楽部

セミファイナルも剣ヶ峰。

各チーム残り4戦というところで大混戦となった。

100戦以上を経て積み上げてきたものの是非が、残りたった4戦で決まるのだ。

茅森早香はペン【3ピン】を残した。

茅森はここから【3マン】を切った。

実は2巡前に一度ペン【3ピン】を嫌っていて、この場面でも【2ピン】【1ピン】と払って5ブロックに構えるのが普通だろう。

しかしあえて茅森は【3マン】を切ってペン【3ピン】を残したのだ。

再度手元に訪れた【2ピン】に手応えを感じたのか。それは運命的な何かだったのか。

茅森の感性が、捉えられるはずのない牌を捉える。

一度手放したはずの【3ピン】をキャッチしたのだ。

次巡、高目三色のリーチを放つ。

直後、沢崎の腕が力強く振り下ろされる。

「リーチ!」

ドラ【白】タンキのツモ切り追っかけだ。

まもなく治療のために入院する沢崎は、この半荘が今シーズン最終登板となる。

半端なリーチは返り討ちにしてやるぜという気概は、とても入院前の男には見えない。

開局から魂のリーチが飛び交う熱い展開だったが、軍配は茅森に上がった。

リーチ・ドラ・裏の7700。熱き戦いは茅森リードで幕を開ける。

伊達朱里紗は塞ぎ込んでいた。

伊達は卓に着くのが怖かったという。

前回の登板時に、勝負どころでハネマンを放銃し、ラスになってしまったこと。

直後に点棒の授受を間違えてしまったこと。

そしてその謝罪が遅れたことに対し、責任を重く感じていたのだ。

もし私のラスのせいでKONAMIがファイナルにいけなかったら…

そんなことを思っては暗然たる日々を送っていたのだ。

東1局2本場、伊達はここから【4ソウ】を切った。

両面を固定して、赤を使い切ろうという選択。

張り詰めた表情でツモ山に手を伸ばしていく伊達。

 

「まるで牌が…」

「まだ戦っていいんだよって」

「言ってくれているようでした」

手の入った沢崎から高めの【6ソウ】が出て8000は8600のアガリ。

3巡目の打【4ソウ】が活きた結果となった。

これでトップ争いは茅森と伊達のマッチレースの様相になる。

勝又健志はマンズに寄せた。

東2局、珍しく勝又が考え込んだのが次の手牌。

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