誰が君を責められようか 戦え伊達朱里紗 過去を振り切る大きな1勝【Mリーグ2021-22 セミファイナル観戦記4/5】担当記者:ZERO/沖中祐也

こんなタンヤオが消える【1マン】、さして考えもせずツモ切ってしまう手牌だが、マンズはみんな切っていて山にいそう。そこで勝又は【2ピン】を切った。

狙い通り、マンズの山を引き当て…

珍しく力のこもった声でリーチを宣言。

どのチームも崖っぷちだが、風林火山は特にもう後がない。

勝又渾身のリーチが入る数巡前、伊達の手牌を見てほしい。

【8ピン】を切ればピンフドラドラとなる勝負手で

前回のハネマン放銃が脳裏をかすめたのか

伊達は【3ピン】を抜いてオリてしまった。

【8ピン】は沢崎の仕掛けだけでなく、ホンイツ模様の茅森にも切りづらい。

とはいえピンフドラドラの勝負手だ。沢崎はテンパイしているか不明だし、打点も不明である。茅森は沢崎に対応している可能性もある。

「怖いもの知らずの開幕前の方がシンプルに押せていた」

と本人が語るように、勝負どころでの踏み込みの強さが伊達のストロングポイントだったのではないか。手厳しい経験を経て、その体は痛みを知ってしまったのか。

その後、勝又からのリーチが入り、伊達は親の沢崎にオリ打ちしてしまう。

驚きの表情の伊達。

【2ソウ】【4ソウ】がノーチャンス(4枚見えている)だったので切ったのだとは思うが、沢崎の【1ソウ】が最終手出しだけにやや切りづらいところ。

とはいえ、勝又と沢崎のリーチに通っている牌もないので難しいところだ。

茅森が1枚以上持っていると信じて【南】あたりを切るのがいいか。

こうして、伊達にとっては最悪の1局となった。

才覚の塊のような打ち手は今季のMリーグを席巻したが、1つのハネマン放銃を機にバランスを崩し、泥土を這いつくばるまで落ちてしまう… そうなる予感がした。

──しかし、一転、伊達は攻めた。

東4局の親番、

【發】・ダブ【東】【8ピン】とポンしてこの形

1枚切れのカン【8マン】でテンパイしているところにツモってきた【8ピン】を積極的にカンした。

打点はすでに12000確定していて、待ちに不安があるので【8ピン】を切る手もある。

いや、だからこそそれが弱みになる。待ちが悪いと読まれてつけこまれてしまうかもしれないのだ。

伊達は攻めることを選択した。

リンシャンでツモ牌も有効牌も引けず、カンドラも乗らなかったが、周り全員をおろし

4000オールをツモってトップ目に立った。

1本場

勝又のドラ【發】のポンテン【3マン】【6マン】【9マン】に対し…

躊躇せずカン【7マン】でリーチをかける!

「勝又さんはノーテンだと思った」

と伊達は語る。

相手のテンパイが不明、自身が勝負手なら、多少強引にでもアガリを取りにいく。

レギュラーシーズンの伊達の切れ味が戻ってきた。

この局は両者ともアガれずに流局するも…

次局伊達はここから【發】をポン。↓

形はやや不安だが、積極的にアガリへ向かう。

目に見えないものに怯えない。

すぐにツモって500オール。

相手が攻めてくる前にアガってしまうことも、リスクを軽減することにつながるのだ。

「これでKONAMIが負けてしまったら私のせいだ…」

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