剛よく柔を断つ 〜鈴木大介13戦ぶりのトップ奪取【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 12/19 第1試合(麻雀チャンネル)】担当記者 千嶋辰治

剛よく柔を断つ
鈴木大介
13戦ぶりのトップ奪取

文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2025年12月19日

9月18日初登板以来13戦ぶりのトップ。

久々に表情を緩ませている鈴木大介
長く麻雀を続けていれば12戦トップなしというスランプは誰でも経験するものだろう。
しかし、それがこの舞台でのこととなれば話は別。
心中穏やかではない日々が続いていただろう。

チーム内の成績を振り返ると、下石戟中田花奈東城りおの3選手がそれぞれトップ率3割をオーバーしている中で、大介は14戦1トップ7ラスと一人苦戦を強いられていた。
チームの雰囲気が良いからこそ、自らの成績を顧みるや劣等感が襲いかかるもの…なのだが、

「どんなに自分が負けても、フラットに打てる環境を作っていただいた。控室も勝っている人ばかりで明るいですし、その雰囲気に水を差さないように過ごしていた。」

と、大介は謙虚に語った。

大介がその輝きを取り戻した13戦ぶりのトップ。
そのきっかけはこの局の一打だった。

第1試合

東家:鈴木大介BEAST X
南家:浅見真紀赤坂ドリブンズ
西家:醍醐大セガサミーフェニックス
北家:永井孝典EX風林火山

・先切りの【3ピン】が高打点の布石

東2局
前局に浅見へ2,000を放銃。
東場の親を落とされ、目覚ましに軽く頬を打たれたような感覚だっただろう。
その大介に、目が覚めるような手が入る。

第1ツモで【白】がトイツになった。
しかも、この時点で残りの中は全て山の中。
紛れもない大三元チャンスである。

大介は浅見から切られた【白】を仕掛けたが、ここで切り出したのは【3ピン】
アガリを意識して直線的に打つとなれば【中】【3ソウ】に手がかかるだろうが、大介は明らかに大三元あるいは打点を意識している。
ここで【3ピン】を1枚外しておいたのは妙手だった。

浅見の字牌整理により矢継ぎ早に打ち出される三元牌。
大介は【發】もポン。
ここから【3ソウ】を切って大三元のイーシャンテンになった。
その後、

醍醐に【中】がやってきてブレーキがかかり、

字牌を整理したばかりの浅見に場風の【東】が入ってこちらもブレーキ。
他家の手を縛っていく。

程なくして、

大三元のテンパイとはならなかったが、高めドラの満貫テンパイが入った。
ここで大介の手が止まった。
巡目が早いこともあって、この手が化ける可能性がどれだけあるのか計ったのだろう。

【中】は簡単に場へ出現する牌ではないため、大三元成就には自力で2枚ツモる必要がある。
ここは先制パンチを繰り出すことを優先して打【中】とした。

大介の河に2巡目の【3ピン】が輝いている。
その外側の【2ピン】はドラのためおいそれと切られるものではないだろうが、この【2ピン】【5ピン】待ちは読み筋に入りにくいかもしれない。

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀シリーズ 新刊情報/