戦姫の槍は折れない
朝陽にいな、
覚悟と希望の初陣
3月31日のドラフト会議。
その日の最後に名前を呼ばれたのが、チームグラディウスの朝陽にいなだった。
配信でも何度もコラボした渋川監督の元、腕を振るう事になった朝陽。
指名されたその瞬間朝陽は……
喜びの涙を流していた。
朝陽の神域リーグに懸ける想いは強い。
もちろん、この神域リーグに出場する選手皆、この大会に出たくてドラフトに応募し、そしてアピールをしてきた。
しかしこと朝陽にいなに関しては、その熱量は人一倍だったと思う。
神域関係者に向けたアピール動画の作成、実際に段位戦配信をする量。
どれをとっても、朝陽の本気度をうかがい知るには十分すぎる要素だった。
そうして、朝陽にとって夢にまで見た開幕。
しかしその開幕戦は、厳しい現実と共に迎えることとなる。
2試合目まで終わって、グラディウスはラス2回のスタート。
一番槍を任された天開はことごとく当たり牌を掴み、2戦目を担当した風見も要所で光るものがありつつも、アガリには結びつかなかった。
開幕日の最終戦を任された朝陽。
監督の渋川からは
「チームメイトいじめやがって~って思いっきりやってきていいから」
と背中を押され。
状況は厳しい。けれど関係ない。
夢にまで見た舞台を全力で楽しむべく。
グラディウスの戦姫が初陣へと向かった。
第3試合
東家 桜凛月 (チームゼウス)
南家 咲乃もこ (チームアトラス)
西家 或世イヌ (チームアキレス)
北家 朝陽にいな(チームグラディウス)
東1局
チームアキレスの新メンバー、或世にドラドラ赤の好配牌。
チームでは初心者枠だが、或世はここで抜群のセンスを見せる。
上家の咲乃が切ったに手を止めると。
「で鳴いて、切ろう」
素晴らしい判断。
これは喰い伸ばしというテクニックで、既にできているのメンツからとを使ってメンツを作り、の両面ターツを残す戦術だ。
これで或世はタンヤオドラドラ赤のイーシャンテン。
早速初心者とは思えない引き出しを見せてくれる。
先制テンパイは咲乃だ。
こちらも高打点のドラドラリャンメンテンパイ。
チームは1試合目の歌衣が2着、2試合目の勝がトップと絶好調。
ここはその波に乗るべく、勢いよく先制リーチ。
同巡、或世が追い付いた。
狙い通りを引き入れて待ちのテンパイ。
かを切ればテンパイだが、ここはより外側の牌であるを切るのがセオリー。
が、或世はここでを切ってしまう。
どうしても234でメンツができていると見てしまうと、陥りがちな落とし穴。
そしてなにより結果が厳しい。
は咲乃のアガリ牌。
なら通っていただけに、これは少し痛い結果に。