【 #神域リーグ2023 第一節第3試合観戦記】戦姫の槍は折れない 朝陽にいな、覚悟と希望の初陣【文 #後藤哲冶 】

余りにも残酷すぎる【3マン】。桜のアガリ牌だった。

「まだ終わってないぞ、にいなの親番!」

自らを鼓舞するように。
最後まで明るく朝陽は配牌を迎え入れた。

リーチ棒と2600の失点で、朝陽は4着になっている。
このままでは終われない。

しかし最後の親番でも、朝陽の想いとは裏腹に、或世からのリーチを受けてしまう。

「ここはもう押すしかないんで。押していきましょう」

【8ピン】をプッシュ。
ボロボロになりながら前に進む。
少しでも良い結果を持ち帰るために。

次巡掴んだ【8ソウ】
これも自分の手牌には不要な牌だ。
切るしかない。
切るしかないのだが――

この【8ソウ】が。
開幕日グラディウスの3連ラスを決定する放銃牌になってしまうのだった。

トップを獲得したのはチームゼウスの桜凛月。
監督不在の中で連闘、そしてチームに勝利を持ち帰る最高の結果に。
これでゼウスのトータルポイントもプラスになった。

2着は或世イヌ。もちろんミスもあったが、それを補って余りあるセンスと、熱い気持ちで大健闘の2着。
試合後の検討配信では「あの【5マン】で放銃するの神域リーガーで或世だけだよ」となんとも辛い言葉を受けていたが、強く生きて欲しい(?)

3着は咲乃もこ。勝負手の5枚山をアガれていれば、また違った展開だったかもしれないがそれが麻雀。
悔しい結果ではあるものの、チームはプラスで今日を終えることができた。

そして、この日まさかまさかの3連ラススタートとなってしまったグラディウス。

しかしその控室は、決して沈んでばかりではなかった。

「完璧なチームワークで444だから。ウチが一番良いチームまであるよね」

「うち皆しっかり打ててるから。今日いたどのチームよりも、ウチが優勝した方が面白いから」

もちろん、渋川はチームメンバーを元気付ける意味合いもあると思う。
けれど確かに、神域リーグは始まったばかり。

グラディウスのメンバーは誰1人として諦めてなどいない。

朝陽は最後まで明るかった。
悔しさはあると思う。
けれど悔しさが募った分だけ、喜びは大きくなる。

1年間努力し続けて、ようやくたどり着いた夢の舞台なのだ。
朝陽の笑顔を、心からの喜びを、聞きたい。
そう思うファンは、僕だけではないはずだ。

まだグラディウスの槍は、心は折れていない。

朝陽にいなの挑戦は始まったばかりなのだから。

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