それは不死鳥たちの決意表明
近藤誠一、意志の力で
呼び込んだ逆転勝利
文・東川亮【木曜担当ライター】2021年2月4日
リーチツモタンヤオ、ご丁寧にもツモったが裏ドラで、2000-4000。
その瞬間、和久津晶は、そしてセガサミーフェニックスは64ポイントを失った。
よりにもよってセミファイナル進出を争う最大のライバル、赤坂ドリブンズの園田賢に奪われてしまった。
激戦を終え、園田は一つ、息をついた。
和久津が見つめていたのは開けられた園田の手牌か、それとも裏ドラか。
大和証券Mリーグ2020、2/4の第1回戦の結果によって、ドリブンズとフェニックスのポイント差は再び100以上に開いた。
今節を終えれば各チーム残り20試合となる。
試合数が減っていく中、特に下位チームにとってポイントの減少は身を切られるような痛みに感じられているはずだ。
第2回戦に登場したのは近藤誠一。
百戦錬磨、窮地など幾度も経験してきているはずだが、表情からは普段よりも張り詰めたものがあるように感じた。
2月4日 第2回戦
東家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:近藤誠一(セガサミーフェニックス)
北家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
序盤は他者の大物手を潰すようなアガリが目立った。
印象的だったのは東3局。
近藤がフリテンのでツモのみの300-500をアガった。
このアガリに思わず表情を歪ませたのが、リーチを打っていた内川。
それもそのはず、彼の手はリーチ七対子ドラドラ赤、ハネ満以上が確定している大物手だったからだ。
を切っての待ちで、山には2枚あった。
これを決めれば自身3連勝、そしてチームのプラス域復帰・3位浮上が現実的となっただけに、思わず心中が表情に出てしまったか。
東4局、暗刻トイツでソーズの一色手が見えていたたろうがポンから動く。
前巡に近藤が切ったはスルーしている。
ホンイツの5200ではなく、確実に満貫以上に仕上げようということだろう。
そしてが重なった直後に高宮から鳴け、テンパイ。
のシャンポン待ちなら役役ホンイツトイトイ、どちらでアガってもハネ満になるが、それよりもアガリやすさを見てのリャンメン待ち満貫テンパイに受けた。
たろうという打ち手とこの仕掛け、河を考えれば、特にたろうの役牌はかなり止められてしまいそうだ。
ソーズ仕掛けのたろうへの対応を余儀なくされる中、近藤がソーズを使い切ってカン待ちの役ありテンパイへとたどり着いた。
ドラドラで打点も十分だ。
しかし出ていくはまだ場に1枚も見えておらず、たろうにロンと言われる可能性もある。
近藤はグッと身を乗り出すと、
高い音を立ててを切った。
ここは勝負だ。
その後、待ちがに変化するが、次巡ツモで手が止まる。
ソーズはが通っており、当たるとすれば単騎かカンチャン、シャンポン待ち。
場には見えていない牌で、自身が3枚持ちでカンチャン待ちの可能性は低くなっているものの、もちろん放銃の可能性はある。
近藤としては、切ることは決めていたのだろう。