最後のを園田がツモ切ると
「ロン」
「えっ?」
打点こそ3900だが直撃は大きい。前局は内川の放銃を内心喜んでいたという園田だったが、ここは一本取られてしまった。
園田対内川、何度もMリーグで戦った2人。この構図は、最終局まで続くことになる。
園田と内川の差は、第2試合開始前の段階で38.5ポイント内川がリードしていた。オーラスの段階で園田はトップ目、このまま逃げ切れば園田の勝ちだが、内川が親番を流局テンパイ、2000は2100オールとアガってつないでいる。
園田としては、そろそろ試合を終わらせたい南4局2本場、暗刻の手が入った。こうなれば全力でアガリに行けるし、もし相手の攻撃が来てもで守備に回ることができる。
をポンしてテンパイ。あとはどこまで押し切れるか。
を打った水崎は、逆転トップを取れば突破という状況だった。そのためには三倍満が必要というなかで四暗刻を目指していたが、園田の3フーロを受けて、オリた。
局が続いたとしても、次に条件をクリアできる手が入る確率は限りなく低い。それでも、今放銃すれば可能性はゼロになってしまう。このオリには、厳しい状況でも最後まであがこうとする水崎の矜持を見た気がした。
HIROは道中で何度かテンパイが取れたものの、内川がテンパイしなければ勝ち上がりという状況につき、スルー。最終盤では内川をテンパイさせないよう封殺する方針にシフトした。
HIROの対応もあって、内川は最後までテンパイできず。
流局でも勝ち上がりだった園田がハイテイ手番で力強くをツモ、戦いに終止符が打たれた。
最終結果はこちら。HIROがさすがの勝負強さを見せ、園田も難しい戦いを強いられるなかで、しっかりとチャンスをものにして勝ち上がったところはさすがだ。
内川は少し不運なところもあり、水崎は選択がかみ合わない局面が結果に響いてしまった形だった。
開幕戦から白熱した戦いとなったMトーナメント。
負ければ終わり、2位まで勝ち上がりというレギュレーションは、Mリーグとはまた違った興奮を味わわせてくれるだろう。ぜひ、今後の対局にもご期待いただきたい。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。