その全てが重なった結果。
18000点の失点。
最悪の結果になってしまった。
……こんな不運があっていいのだろうか？
麻雀の神様はいったいどれほどの不幸を朝陽に背負わせるつもりなのか。
この世の不運を煮詰めたかのような凄惨な事態が、朝陽を襲う。
「……待って、落ち着こう、まだ親番残ってるから。……大丈夫」
それでも、それでも朝陽は立ち上がった。
何度その身を襲い来る不運に焼かれ、理不尽な事象に叩きのめされても尚。
朝陽は仲間と繋ぐ一本の槍を支えに立ち上がった。
南４局、その立ち上がった証拠とも言える姿が、オーラスにあった。
最後の親番。これまでの不幸を体現するかのように、やはり配牌は良くない。
頼みの綱は、役牌の
だけ。
これを頼りに、朝陽は喰らいつく。
テンパイになる牌ではないが、
もチー。
これで三色がつけば12000まで見える手牌になった。
持ってきたをカンして、ドラを乗せ、これで7700のテンパイ。
最後まで、全力で前を向いて。
朝陽は戦い抜いていた。
――その結果は、望んだものではなかったとしても。
折れぬ貴方は、最後まで美しかった。
最後は、歌衣が３着から２着に上がる手をしっかりとダマテンでつかみ取って2着。
トップを取りたかったとリベンジに燃える歌衣は、次の第１１回戦も連投を宣言。
３着に因幡。要所で細かなアガリこそ決めるものの、大物手がなかなか来ず、３着。
トップに、渋谷ハル。
確かに東三色ドラ３などの好配牌は来たが、それ以外の局での打ち回しが光るトップだった。
メリハリのある麻雀で、好調アキレスのポイントを更に伸ばすことに成功。
そして。
４着になった朝陽。
そのインタビューで朝陽は、１度たりとも「通信エラー」の話を出すことは無かった。
「
は打ちたくなかった」
「思った打牌ができなかった」
「ちょっと通信状態が悪くて」
いくらでも、言い方はあったはず。
それでも、朝陽はその言葉を心にしまい込んだ。
仮にその言葉が朝陽から零れていたとて、彼女を責めることはできない。
何度だって言おう。
朝陽は、この神域リーグに入るために並々ならぬ努力をしてきた配信者だ。
そして、念願かなってこの夢の舞台に足を踏み入れて。
それでもチームはなかなか成績が奮わず。
結果を期待された自分も思うような結果が出ずに。
その果てに起きた、この通信障害なのだ。
少し朝陽が悔しい想いを吐露したところで、誰も責めることなどできやしない。
それでも、朝陽は呑み込んだ。
「あと一歩がなかなか遠くて」
そんな調子をおくびにも出さず、明るい声音から紡がれる言葉を聞いて。
胸が締め付けられるような感覚になったのは、私だけではないはず。
注意しておくが、これは運営に向けた批判だとか、そういった行為がしたいわけではない。
実際に試合後に行われた検討配信で、朝陽は
この記事が気に入ったら
フォローをお願いいたします！
最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします！
