【 #神域リーグ2023 第10節第29試合観戦記】”因幡の黄兎” 神域リーグとチームのため 因幡はねるが選んだ道【文 #後藤哲冶 】

「どっちだ……!」

慎重に、因幡が選ぶ。
カーソルが、【4マン】【7マン】を行き来する。

選んだのは、【4マン】切りリーチ。
基本、村上も朝陽も放銃してくれることは無いだろう。
それでも、ちょっとでも放銃の可能性があるのは、スジで外側の7mだと信じた。
因幡の、最後まで強気の選択。

山には、ドラの北があった。
ツモれば、12000から。
因幡が、最後まで着順アップを狙って戦った。
その結果が――

流局で、因幡は4着だったとしても。
最後まで諦めなかった姿勢は、チームメイトを、ファンを、勇気づけるものだったに違いないのだ。

トップは、朝陽にいな。

チームを救う連勝。これでなんとゼウスをかわしてグラディウスは4位に。
苦しい時間が長かっただけに、嬉しい連勝だろう。

因幡は、悔しい4着。
応援配信に戻ると、少し落ち込んだ様子も見受けられた。

「なに笑ってんだ!」「人の心がないのか!」「いや僕がチームで一番ラス引いてるが」

それでも、チームメイトに励まされ、すぐに元気を取り戻す辺り、ヘラクレスの雰囲気の良さを感じさせてくれる。
そのチームの雰囲気を作り出したのも、他ならぬ因幡なわけで。

少し話がそれるが、古事記に登場する『因幡の白うさぎ』の話を知っているだろうか。
難しい話は割愛するが、ちょっとだけ腹黒い神聖なうさぎが、自分を助けてくれた相手に良い予言をするというもの。

つまるところ、「情けは人の為ならず」という言葉を表したようなお話なのだ。

今シーズンは自身の病気等、大変な事がたくさんあったにも関わらず。
それでも神域リーグに沢山貢献し、盛り上げ、そして今日、最後まで戦い抜いた。

そんな、努力家で、ちょっと黒くて、可愛い”因幡の黄兎”に。

きっと素晴らしい事が返ってくるはず。
……その素晴らしい事とは。

――きっと、チームヘラクレスの総合優勝なのだろう。

 

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