【 #神域リーグ2023 第10節第29試合観戦記】”因幡の黄兎” 神域リーグとチームのため 因幡はねるが選んだ道【文 #後藤哲冶 】

それでも朝陽はこの【發】を打ってテンパイを取った。
まだ村上がテンパイじゃない可能性だってある。自分は親で、ツモられてもかなりの点棒が削られることが確定している以上、この踏み込みはアリだ。

結果、1500点をアガりきって、村上の勝負手を潰すことに成功。
反撃の芽を潰す良いアガリ。
東4局4本場へ。

因幡にようやく戦える手牌が入った。
絶好のカン【4ピン】から埋まっての【5マン】【發】のシャンポン待ちリーチ。

これを村上からアガって、8000点の加点。
この因幡のアガリで2着争いは全くわからなくなった。

南1局も朝陽が局消化、続く南2局

朝陽がカン【8ソウ】のリーチ敢行。
これも打点も待ちも優秀ではないが、リーチをすることで親の因幡がオリてくれれば良いというリーチ。

今回は押してきたルイスへの放銃になってしまうが、これも朝陽にとっては許容範囲。
とにかく全員の親番さえ流せてしまえば、朝陽の勝ちだ。

南3局も逃げ切りを図る朝陽。ドラの【2マン】を2枚従えて【中】からの仕掛け。

親の村上からリーチが来るも、オリきれないと判断した朝陽は勝負に出る。
朝陽も3900点の【3ソウ】【6ソウ】リャンメン待ちだ。

が、ここは村上の勝ち。しっかりと良形の待ちを作って勝負に出るリーチ超人の真骨頂。
この12000で、2着争いは村上がリード。

2着争いに一歩遅れた因幡だったが、ここでチートイツドラ3の勝負手が入った。
全体に悪くないマンズの上と字牌の南に狙いを絞り、リーチを狙う。

狙い通り、【8マン】を重ねた。
迷いなく【7マン】切りリーチで、絶好の【南】単騎。これをツモれば一気に2着まで浮上することができる。

「はあ~い~?!」

しかしこの宣言牌【7マン】が捕まった。
カン【7マン】ダマテンを入れていた朝陽への放銃。
因幡の勝負手は、たった一度のツモ番を見る事すらできずに泡と消えてしまった。

苦しい状況でオーラスを迎えることになってしまった因幡。
3着のルイスまで5200点差だ。

ドラを重ねてなんとか着順アップが見えてきたところに、3着目ルイスからのリーチ。
あまりにも早いリーチだ。

因幡にとって更に悪い事象が起こる。
リーチしていたルイスが【8ピン】の暗槓。新ドラは……【8ピン】
つまり、ルイスの手にドラが4枚が確定した。

因幡が、大きく息を吐いて、【8ソウ】の対子落とし。
通りそうな牌で、それでもまだ前に出れるギリギリのラインを探る。

通常、ラス目である因幡が3着目のルイスのリーチに対して押すのなんて当たり前じゃないかと思うかもしれないが、これは当たり前ではない。

思い出して欲しい。
ヘラクレスのチーム状況を。よほど酷いラスを2回引かない限りは、ヘラクレスはジャンプアップでファイナル進出。
ドラの暗槓が入って、最低でも8000、だいたいは12000以上になるこのルイスのリーチに対して、オリても良い立場なのだ。

それでも、因幡は押すことを選んだ。
この手をアガり、1つでも上の着順を目指したほうが、ヘラクレス優勝のためになると信じて。

テンパイ……!
最終盤に追い付いた。【4マン】【7マン】を切れば、【北】とのシャンポンテンパイ。アガれば無条件で3着。

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