拝啓 滝沢和典殿 あしたのために─相手の心理のやや内角を狙い、えぐりこむように打つべし Mリーグ2021-22コラム【文・松崎良文】

拝啓 滝沢和典殿
あしたのために─
相手の心理のやや内角を狙い
えぐりこむように打つべし

文・松崎良文 (2022年4月14日)

皆さんは憶えているだろうか。

Mリーグ初年度の開幕週。
選手やチーム・運営スタッフ、そして視聴者の誰もが手探り状態だった中で役満テンパイを入れた、スター性の塊のような男。

若き日の滝沢を見た者は、口を揃えてこう言った。
まさにダイヤの原石だ、と。

取り分けて魅了されたのは、激動の時代を生き抜いた昭和の先人達。
光り輝く眼前の逸材に麻雀界の未来を託すべく、練達の士は、己の知る様々を惜しげもなく伝承した。
新旧世代の過渡期に濃厚な修行時代を過ごした滝沢の麻雀は、その素地に脈々と息づく競技麻雀の源流を感じさせる奥深さがある。

3月31日(木)、第1試合
劣勢で迎えた南場の親番、まずは七対子リーチをツモって素点回復。

続く1本場では、

ホンイツ本線の早仕掛けで場に制限を加え、

自在に立ち回って一人テンパイ。
場面は南3局2本場へと続く・・・。

もう20年も経つのか・・・。
我々が修行時代を過ごした平成初期は、まだ昭和の名残りが色濃く、卓に於ける作法などにも厳しい風潮が漂っていた。
そんな中で、思い返せば気の遠くなるような長い時間を麻雀へと注ぎ続ける毎日。
同じ年頃の若者が街に海に山にと青春を謳歌しているのに、昼なお暗いジャングルのような環境で牌と向き合う日々。

死して屍拾う者なし、の覚悟で生きていたはずの私は・・・iDeCoやNISAで老後に備える田舎の中年へと落ち着いてしまった。
舟唄がすっかり沁みるようになった私ですら、かつての修行時代が現在の心の拠り所になっている部分もある。
あの頃に感じたこと、譲らず大切にしていたこと、そして先人達から学んだこと。
背中で語る強烈な生き様、どこまでもストイックな麻雀理論。
過去の教えを尊ぶ想い、いわんや滝沢をや。
麻雀界の最前線で戦う滝沢にとってこそ、その教示はより強く刻まれていることだろう。

南3局2本場

ここも先制リーチが打て、二人テンパイで流局。
気付けば二着目まで浮上。
他三者も、いよいよ滝沢の親番が脅威に感じられてきたことだろう。

南3局3本場

3着目となった北家・魚谷侑未選手が2フーロのカン【5ソウ】テンパイから、

カン【3ソウ】へ待ち変え。前巡に西家・松本吉弘選手が通したばかりで盲点ではあるが、最後まで押し切るには不安が残る形と言える。特に親番の・・・、

ですよね。当たると満貫覚悟のドラ【南】も涼しい顔で打ってきました。
今局まで積み上げてきた過程にそれなりの手応えを感じていたはずです。

ではここで、魚谷選手の【6ソウ】手出しについて少し考えてみましょう。
基本的に、鳴いた後、特にテンパイしてからは極力手出しを控えたほうが良いです。
なぜなら、ただでさえ短くなった自分の手牌の情報が、より相手に読まれやすくなってしまうからです。
場に【6ソウ】は通っておらず、空切りの可能性は低く、チーテン濃厚な形からの必要な手出しであったことが推測できます。これで、純粋な【南】タンキや【6ソウ】絡みのノベタンからの【南】タンキの可能性が消えます。
次にシャンポンへの待ち変えですが、親落としがメインテーマであることを考慮すると、リャンメンを選択できる【5ソウ】【7ソウ】、そして2枚切れの【8ソウ】受けの可能性は低く、残るは【4ソウ】のケースのみ。
ならば押せると判断してのドラ切りとなりました。
てな話をしていると、

噂の【4ソウ】を松本選手が通してきました。これはさすがに警戒レベル急上昇。
そして、

テンパイです。
さて、魚谷選手のテンパイ形について、更に考えてみましょう。
どうしても必要だった手出し、本命は【4ソウ】【6ソウ】からの【3ソウ】引き。対抗は【4ソウ】【6ソウ】からの【2ソウ】引き。
【6ソウ】切りがほぼノータイムだったことが判断材料となっており、これが少しでも時間を使っていると序列逆転になっていたため、魚谷選手の好プレーと言えます。

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