拝啓 滝沢和典殿 あしたのために─相手の心理のやや内角を狙い、えぐりこむように打つべし Mリーグ2021-22コラム【文・松崎良文】

お、テンパイしたか。
リーチするんだろうけど、【4ソウ】通ってるし、イーペーコーもあるから【1ソウ】切りリーチかな。

次の瞬間、画面には予想と違う光景が広がった。

なにーっ!
もー、せっかくの親番がもったいない!
いやー、【1ソウ】切ってほしかったなぁ・・・。

この放銃を昭和の先人達が観ていたら、きっと葉書を送り付けるに違いない。

滝沢和典殿・・・あしたのために(その1)=連荘=
攻撃の突破口を開くため、
あるいは敵の出足を止めるため、
親番を小刻みに続けること。
この際、安全かつ高目取りの心構えで、
相手の心理のやや内角を狙い、えぐり込むように打つべし』

いやいや、松崎さんよ。あなた前回にも増して何言ってるか解らないんですけど。
わざわざタッキーの放銃場面を取り上げて、挙句に葉書ですって?
昭和の漫画じゃあるまいし、そんな戯言は令和じゃ通じませんよ!

はい。自分でもそう思います。でもね。

何を隠そう、私が送っちゃったんですよ。
令和なので葉書じゃないですけど。
試合が終わって、まだ画面にダイジェスト映像が流れている時に。

【1ソウ】切りリーチを打ったとて、3着という結果以上の未来は待っていなかったかもしれない。
でももう少し、あの連荘が観たかった。
あの場面で我々は【1ソウ】切りだと学んできたはずだし、先人達もそれをきっと望んでいただろう、と。

衝動と代弁、数年ぶりとなるメッセージ。
勝負処での思考が知れた有意義さよりも、試合直後に丁寧に対応してくれた優しさに、何だか申し訳ない気持ちが印象深く残った夜だった。
タッキー、ありがとう。

レギュラーシーズンを3位で通過したKONAMI麻雀格闘俱楽部のセミファイナルは、好調スタートから一転、

ボーダーライン付近まで下降して敗退のピンチを迎えたが、ここから躍動。

勝利の感涙に震えたヴァルキュリア。

勇敢に攻め続けたベルセルク。

あ、こちらの方は平常運転ですね。魔王様お目覚め、おはようございます。

それぞれが持ち味を発揮し、セミファイナル2位通過。
初年度以来となるファイナル進出を決めた。

「チームメイトが頼もしくて助かってます。ファイナルは更にシビれる戦いになると思いますが、雰囲気はかなり良いので、全員一丸となって優勝を目指します!」

まだ見ぬ頂上へと進みだそうとしているKONAMI麻雀格闘俱楽部。
その精神的な支柱としても大きな存在感を示す滝沢のファイナルが、間もなく始まろうとしている

6日間、12試合。
それはきっと、私たちの人生にとって、あまりに短い時間かもしれない。
でもその時間は、ほんの瞬間にせよ、まぶしいほど真っ赤に燃え上がるだろう。
燃えカスなんて残りやしない熱い闘いの果てに残るのは、真っ白な灰ではない。
最高に煌めく想い出の数々を、私たちの心の中に遺してくれるだろう。

 

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