まばゆい黄金の輝きの中で 猿川真寿と獣たちの、そして私たちのMリーグが始まった【Mリーグ2023-24観戦記 9/18】担当記者 #東川亮

リーチ三暗刻、裏3。形でのリャンメン待ちリーチではなく、意思を持った手組みが見事に結果へと結びついた1局だった。

猿川は、南2局に一度は瀬戸熊の逆転を許すも、南3局は自力でアガって再逆転。オーラスをトップ目で迎えた。
新チームの初戦でトップ獲得となれば、チームの第一歩としてはベストと言っていい。

ただ、点差は700点。
テンパイノーテンはもちろん、親かぶりでも簡単に変わってしまう程度の差だ。それを考えれば、少なくとも一回はアガって瀬戸熊の追撃を逃れるところまで引き離したい。

猿川はこの局、ペン【7ソウ】チーから動き、789三色のカン【5ピン】待ちテンパイを入れた。
ただ、仕掛けからテンパイまでの間に松本からリーチが入っている。安全牌もないし、ここは全ツッパ。
松本の手がツモって800-1600以上ならどうせトップ陥落、ならば自力決着を目指したほうがいい。

宣言牌またぎの【3マン】も押した。
猿川は、瀬戸熊がノーテンなら自身もノーテン宣言をして勝つルートがある。
瀬戸熊は【中】のトイツ落としでやや迂回気味に見えそう。
しかし、現状では完全安全牌が【8ピン】のみで中抜きすれば手が終わるし、そのあとで瀬戸熊に復活されたら最悪だ。
この【3マン】押しこそ、もしかしたら猿川真寿の真骨頂なのかもしれない。

しかし、猿川の押しを松本が上回った。手の内は、恐ろしく高い。リーチツモタンヤオピンフドラ赤赤、

・・・裏1。
黄金の一撃、4000-8000の倍満ツモは、猿川はおろか瀬戸熊までかわし、王者・渋谷ABEMASに劇的な逆転トップをもたらした。

もちろん、猿川をはじめBEAST Japanextの面々は、Mリーグの試合を数多く見てきたはずだ。
赤があって打点を作れる要素が多いMリーグにおいて、これまでにもさまざまな大逆転劇が繰り広げられてきたことも、十分に知っているだろう。

そう、これがMリーグ。

猿川真寿と獣たちがついに足を踏み入れた、過酷で非情で、そして面白すぎるステージである。

最後に。
この日行われていたパブリックビューイング会場では、松本が裏ドラをめくった瞬間、歓喜と落胆、驚愕、さまざまな感情が爆発した。

それはまさしく「熱狂」であり、そこには「愛」があった。

6年目を迎えるMリーグ。年々成長を遂げているが、源にあるのは、ファンのみなさんがMリーグを愛し、楽しむ気持ちだと思う。
パブリックビューイングはある意味で、その愛情をみんなで確認する場なのではないだろうか。高揚する気持ちのどこかで、そんなことを思った。
Mリーグは間違いなく、ファンのみなさんのものでもある。

黄金の輝きと共に。
私たちのMリーグが、また始まった。

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