鈴木大介が見せる世界
Mリーグに
新たな風が吹き荒れる!
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2023年9月18日
第2回戦
東家:鈴木大介(BEAST Japanext)
南家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
西家:萩原聖人(TEAM雷電)
北家:松ヶ瀬隆弥(EX風林火山)
Mリーグ2023レギュラーシーズン開幕日。
本日の対戦カード、やはり注目は今シーズンから加入したBEAST Japanextだろう。
オフシーズンではオーディション・ドラフト会議と話題が絶えず、対局を楽しみにしていた視聴者も多いはず。
その中でも特に注目が集まっているのが、やはり鈴木大介だ。
プロ棋士とプロ雀士の二刀流という前代未聞の肩書を引っ提げてMリーグ入りを果たした大介。過去最強位になったことはあるものの、他のタイトル戦への出場はまだ無いため対局を見たことがない視聴者も多かったはず。
注目を集める中、結果こそついてこなかったが記憶に残る鮮烈なデビュー戦となったのは間違いない。
東3局、この局、大介の第一打目での選択がSNSで非常に話題になった。
配牌で好形の2シャンテンだった大介は…
なんとピンズの連続形を壊す打を選択した。
恐らくMリーガー36人の中で打を選択するのは大介ただ一人だろう。
ではなく字牌を打った方が受け入れが広いのは何となくわかると思うが、どのくらい違うのかと言うと、を残した場合への有効牌は~の7種類24枚で、対して字牌()を残した場合の有効牌はのみなので1種類2枚しかない。その差は実に22枚だ。
大介は若い頃は雀鬼会に通い、雀鬼こと桜井章一から麻雀を学んでいたという。
おはようございます。
本日は完全オフです!実は昨日、麻雀の師匠である桜井章一会長に会いに行ってました!
尊敬する丸さん(佐々木秀樹さん)もわざわざ駆けつけて頂き、会長とお話も色々と出来ました。雀鬼会の皆様、ありがとうございました! pic.twitter.com/yK0qBGy0OS
— 鈴木大介 (@Dsuke_213) September 10, 2023
雀鬼会には「第一打に字牌を切ってはいけない」という教えがあり、その教えを今でも守っているのだろう。
私自身関係者から直接聞いたわけではないので定かではないが、第一打に字牌を切らないのは漫然と字牌を切る状況を避け、手牌の構想力を培うために決められているらしい。
流石にやりすぎなのでは…とSNSでは賛否両論だったが、このように特定の場面での選択をシステム化することで、打牌の内容とは別に強みが生まれることがある。
それは打牌のスピードだ。
大介は打牌が非常に早い。恐らくMリーガーの中でもトップクラスだろう。そしてその打牌スピードこそが大介の強力な武器の1つであると思う。
淀みない打牌はそれだけで相手にプレッシャーをかけることができる。実際に対局するとわかるが、打牌スピードが早い相手は本当にやりにくい。
今回の牌姿では字牌を打たなかったことともう1つ、との選択があった。
同じ連続形で、どちらも面子を作るにおいて優れた形ではあるがは~と7種類の受け入れに対し、は~と5種類の受け入れとやや少ない。
ただ、両面になる受け入れはどちらも4種類で、は一盃口への変化もあるため打点において優れている。好形・打点を重視するのであればを大事にしたい。
大介はイーシャンテンの受け入れよりもテンパイ時の形を重視し、字牌ではない・どちらかの選択ということでになったのだろう。
打牌スピードはシステム化された打ち筋の上に成り立っており、そのシステムは若い頃の雀鬼会での経験がベースになっているのではないだろうか。
別の局でこんな場面があった。
南1局、大介はトップ目で親番を迎えていた。
リャンメン2つのイーシャンテンだが、234への変化を見てを残している。
そこへラス目の松ヶ瀬からリーチがかかる。
大介から見た捨て牌がこちら。
松ヶ瀬はをトイツ落とししてリーチしていることから、好形で打点も十分に確保されてる可能性が高い。
大介はをツモってくる。
・・のターツの選択となるが、が現物であり早めに切られていることからを跨ぐ待ちの可能性は低いと読み打を選択する。
すると同巡、下家の白鳥がを合わせ打つ。これでが大介の目から3枚見える。
次巡、大介がツモったのはドラの。
ワンチャンスになったを先に勝負。