「残り最短3局、埋める点差は20700点。」よくない偶然の中、小林剛はただ目の前の条件を見つめ続けた。【 麻雀最強戦2023 】打倒最強位決戦 観戦記【A卓】担当 渡邉浩史郎

なんとこの半荘、小林の仕掛けはわずかに一回のみ。門前での和了りが大部分を占めていた。
しかし仕掛けた一回の局は見事和了りをものにしている。むしろそこにこの半荘一番の小林剛イズムを感じたため、その局を振り返ってこの観戦記を締めさせていただこう。

【9マン】【4ソウ】と手出しの後は全部ツモ切り。【南】をポン出来て、ホンイツ一直線の手だが……。

二枚切れ安全牌の【中】を先に切って、三者に無筋の【7マン】を残した!

いわゆるホンイツぼかしの形だが、普段から仕掛けていて打点に幅がある小林だからこそ実行する価値があるといえよう。他家からすればこの仕掛けはマンズの上にブロックがある2900の可能性が出てくるからだ。

人為的な工作を入れられたのはわずか一手。しかしその一手がこの和了りを生んだといっても過言ではない。

たとえ一回しか鳴けなくても、やはり小林は仕掛けの男なのだ。

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