本田朋広と黒沢咲、
両者の運命を分けた選択
【A卓】担当記者:東川亮 2020年12月12日(土)
麻雀最強戦ファイナルがはじまった。
今年大きくレギュレーションが変わったのが、2日間開催であること。
昨年までであればファイナル各卓のトップのみが同日行われる決勝に進出していたが、今年は決勝までに2戦あり、いずれも2位までが通過となっている。
トップ取りでなくなった分、これまで以上にさまざまな駆け引きが見られそうだ。
各卓の組み合わせと対局順は抽選で決定。
最初に行われるA卓はファイナル幕開けにふさわしい、非常に華やかな顔ぶれとなった。
堀江貴文。
かつてITベンチャー企業を率いて一時代を築き、今なおさまざまなジャンルで活躍する男が、2016年以来となる麻雀最強戦ファイナルの舞台に登場。
実業家の麻雀打ちと言えば、2014年に最強位となった藤田晋氏のインパクトは今なお鮮烈に残っている。
6年ぶりに、実業家最強位の誕生となるか。
黒沢咲。
TEAM雷電の一員として戦うMリーグでは、手役にドラを絡めた超高打点を炸裂させる打ち筋で結果を残し続けている。
一方で、打点が見込めないときの守備力も見逃せない。
初出場となる麻雀最強戦ファイナルの舞台でも、「セレブ」の豪腕がうなる。
本田朋広。
今年は日本プロ麻雀連盟の「麻雀グランプリMAX」を制覇、麻雀最強戦でもツモり四暗刻の手を堀慎吾から直撃してファイナル進出を決めた。
その他の対局でも結果を残し、競技麻雀界においては今年最も飛躍した雀士と言っても過言ではない。
他3者と比べると知名度は大きく劣るがルックスはご覧の通りイケメン、ここで勝ってさらなるスター街道へと突き進みたい。
岡田紗佳。
モデル、タレント、Mリーガーと、さまざまなジャンルで活躍している選手。
「最強の女流プロ ニュースター決戦」では強豪女性プロを打ち倒して優勝しており、その実力も証明した。
かつては最強戦アシスタントだった岡田が最強位になったとあれば、これほどドラマチックなことがあるだろうか。
東家:岡田 南家:黒沢 西家:堀江 北家:本田
東1局。
先制は親の岡田。
カンチャンを引き入れてのリャンメン待ちリーチは、本人としても感触は抜群だろう。
2位まで通過というレギュレーションを考えれば、親番でいきなりリードできるアドバンテージは大きい。
しかし、本田もタンヤオドラ1、カン待ちのテンパイを入れる。
リーチはせず、危険牌を引くまでは行く、という構えだろう。
この場面を制したのは本田。
オリるような牌を掴むことなく、山に2枚残っていたアガリ牌を引き入れた。
自身のアガリ以上に、岡田の親リーチを蹴れたことは大きい。
本田にとって好感触で迎えた東2局、配牌からはピンズの一色手が見える。
2巡目には早くもドラそばのをリリース。
その後黒沢の打ったをポンするのだが、これは同じ巡目で立て続けに打たれた2枚目に声をかけた、いわゆる「同巡2鳴き」。
安手で見られることが多い現象(打点を見て1枚目はスルーするも、2枚目を鳴かないとアガリが見込めなくなるため)だが、今回は打点も伴っている。
本田としては、1枚見送っても十分アガリまで狙えると考えての判断だったのかもしれない。
さらにまでトイツにし、ポンして役役ホンイツトイトイのハネ満テンパイ。
本田が一気にA卓を制圧するかに思われた。
しかし、そういうところに落とし穴があるのが麻雀だ。
微差ながらラス目の岡田がリーチ、さらに堀江も追っかけリーチを被せてくる。