減り続けるチームポイント
流出を食い止めた、
朝倉康心の柔らかい打ち方
文・危険な鬼太郎【火曜担当ライター】2021年1月19日
解説の多井がとても面白い事を言っていた、
「小林剛は“パイレーツは現状最下位だけど、これからの30戦全部2着だったら残れる!”って言ってたけど、俺は対局の数が少なくなっていくにつれて7位と最下位のチームに辛く打って、トップや2着を取らせないようにするよ」と。
現状抜けた首位のアベマズですらまだレギュラーシーズン敗退の危機がある。万に一つにもそんな事はあってはならないのでポイントを持たないチームには苛烈に打つという訳だ。
当然そんな事をされてしまっては下位のチームがトップや2着を取る事が難しくなってくるので、早めにマイナスを二桁ぐらいまで戻したい。このポイント差のまま残り15戦ぐらいになってしまえばポイントを持っていないチームは圧倒的に不利になる。
下位のチームはまだ他のチームからマークされる前に、ポイントを回復したい所だ。

2戦目
東家 近藤誠一(セガサミーフェニックス)
南家 朝倉康心(U-NEXTパイレーツ)
東2局 親・朝倉 ドラ
朝倉が親番でホンイツに向かい、字牌のをポンせずスルー!

鳴かずにを引き入れて
の対子落とし。ホンイツへと前進。
なんでも鳴く印象が強い朝倉だがこの局は意外にも鳴かずに手を進めた。この手はを1枚目から元気よく鳴いてしまうと他家が手になっていなかった場合字牌が止められる可能性がある。
他家から牌を絞られても自分の手牌が聴牌できそうならいいが、カンという不安定な形が残っているならば鳴かない手もある。朝倉は鳴きもメンゼンもどっちも出来る万能型だ。
メンゼンでを暗刻にして
を鳴いて聴牌を入れる朝倉。

7700のホンイツの
待ち聴牌を入れる朝倉。朝倉の河を見るとホンイツには一見見えない。
このは誰もが放銃してもおかしくない…。
そしてすぐにを掴む園田。

を切った後なので
もノータイムで打つかと思いきや…。

をきっかり止める園田
園田とて朝倉が聴牌だと確信してこのを止めたわけではないだろう。これは自分の手がつまらない手なのもあるが、朝倉がホンイツだと思っているので止めた
だ。
園田が朝倉のホンイツを看破出来たのは朝倉の手出し牌の多さが要因だろう。
朝倉はをツモ切りして
を手出し。そして
対子落としの後に
とダブ
を手の内から切った。明らかに通常の進行とは思えない。
の対子落としからもホンイツが濃厚。
朝倉がホンイツだと思っているのにこのつまらない手牌で放銃する危険を冒すのはバカらしいと思い、園田は見事にこのを止めきった。
七対子ドラドラの聴牌を入れていた亜樹がを掴み長考。

親番の朝倉にこのを切るかどうか迷うものの、自身は6400の聴牌。朝倉が聴牌しているとも限らないし、聴牌していたとしてもソウズの無筋はまだたくさんある。


朝倉が見事な手順で亜樹からのを捕えての7700のアガリ。
その後、園田が近藤や亜樹から高い手をアガって園田が一歩リードした状況で南場を迎える。
南1局 親・近藤 ドラ
朝倉がをリャンメンチー!

園田がを
のリャンメンチーで晒しているので、この
は都合4枚目。流石にこの牌をスルーしてのアガリは厳しいとみての渋々の鳴きだ。4mとダブ南のシャンポン聴牌
メンゼンで仕上げたかったとはいえ、これでもダブでアガれば5200、ツモれば三暗刻でマンガン。
ロンの1300点はちょっと寂しい物の
ツモの1600-3200の抽選を逃すほど朝倉は甘くはない。
親番の近藤が先制リーチへと踏みでる。

子番の園田と朝倉の二人がリャンメンチーをしているので、一刻も早く降ろしたい所。
そしてリーチ一発目にを掴む朝倉。

一般的にリーチの一発目は完全安全牌を切れ!という考えが定着している。リーチに一発で放銃してしまえば払う点棒が倍になってしまうかもしれないからだ。
だが…この手牌はどうだろうか。リーチの近藤の河には無筋が多く端っこのぐらい押したくなるし、自分の手が勝負手の聴牌。
この手を仮にアガリ切る事が出来れば1着が近づき、ラスを遠ざけるアガリとなりえるが…。