チームヘラクレスは良い雰囲気で折り返しを迎えようとしている。
この日の第1試合に先発した長尾が、初トップを獲得。
既に大暴れをしているろたんと、緑仙にその喜びを弾けさせた。
「俺たち連対3兄妹!」
「あれ? なんで(マツ)肩組まないの?」
この煽りには松本監督も苦笑い。
けれど、自分が指導をしている選手達が結果を残すことは、松本監督にとっては相当に嬉しいはずだ。
第2試合の先発は、緑仙。
この良い雰囲気のまま、前半戦を終えることができるか。
第5節 第2試合
東家 村上淳 (チームアトラス)
南家 咲乃もこ (チームアキレス)
西家 ルイス・キャミ―(チームゼウス)
北家 緑仙 (チームヘラクレス)
東1局
先制リーチは親の村上から。
チートイツを作り上げることに定評のあるリーチ超人が、4巡目にドラの西単騎でのリーチへ。
アガれば18000からのいきなりの勝負手だ。
ここに緑仙が追い付いた。
役牌の白が暗刻のイーシャンテンで赤も1枚あった緑仙は、元々「追い付いたら行くよ」と言っていた。
を切って、待ちのリーチ。
リャンメンな分だけ、緑仙の方が有利かと思われたが、なんと枚数は互角。
3枚対3枚のめくりあいは――
緑仙がドラの西を掴んで決着。いきなり18000を失う波乱の立ち上がりとなってしまった。
それでも、緑仙は冷静だった。
「まぁまぁまぁ、まだね、東1局なんで」
まだ始まったばかり。取り返すチャンスは必ず来るとばかりに、気持ちを切り替えた。
東1局1本場
「234(三色確定)で、のリーチが打ちたいです」
緑仙は昨年に比べてはるかに手牌の構想力が上がっている。手牌を進めていくにつれて、どうなったら高いかをイメージすることができている。
そしてその願いに応えるように、緑仙の手がするすると進んでいき。
理想通りのテンパイに辿り着いて、見事な跳満ツモ。
これで失った点棒の3分の2を取り返した。
東2局
緑仙がここから打。
もうイーシャンテンで、は安全牌候補で残しつつ、とで勝負。
そもそもを引いたとて、出ていくのはドラの7sになってしまう。
を引いてテンパイ。
ドラドラのこの手は、当然のリーチだ。
この時、親番の咲乃にも勝負手が入っていた。
発を鳴いてが暗刻、更にドラがトイツと打点も申し分なし。
緑仙からリーチが入っても、「押し押し押し」と言い聞かせるように呟いて、猛然と押していく。
赤を引き入れて、待ちがカンから待ちに変化した。
そして変化して増えたを掴んでしまったのが、またもや緑仙だった。
先ほど取り返したはずの点棒が、今度は咲乃に献上。
これで緑仙はもう一度4着目に転落。
それでも緑仙は攻めることをやめない。
東3局、と鳴いて、を切ればテンパイだが、迷わず打。
ホンイツへまっしぐらに進めていく。