渋谷ABEMASの受難
白鳥翔に立ちはだかった、太く分厚い壁
文・東川亮【金曜代打ライター】2024年11月22日
大和証券Mリーグ2024-25、11月22日の第1試合。


オーラスは3軒リーチのぶつかり合いを制し、3着目からの逆転トップ。
これで戦績は10戦5勝、個人成績は200ポイント超え。まだ気が早いがMVPも視野に入る好成績を収め、首位を走るチームを牽引する。ネット麻雀で「神」とも称された男が、いよいよその本領を発揮してきている印象だ。

一方で、今シーズン「MVPを狙う」と宣言していた白鳥翔は、開幕からどうにも成績がついてこない。この試合でもラスを引き、個人ではマイナス170.9ポイントと、不振にあえいでいる。
トップラスとなった2人の間には、目に見えるキーポイントがあった。

第2試合
西家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
北家:内川幸太郎 (KADOKAWAサクラナイツ)

東2局、太がカンチーから動く。
手役は確定していないが、中ポンだけでなくチャンタや三色と、アガリまではいろいろなルートが残されている。ドラのも2枚あって、打点もついてきそうだ。

チーの1シャンテンから、ペン
を引いて
待ちテンパイ。
なら三色ドラドラにチャンタもついて満貫と、打点も伴う。

このとき、白鳥にはと
が1枚ずつ浮いていた。アガリに向かうならどちらかを、しかも高目の
を選んでしまいかねない状況だったが、ここは受けの選択。さすがに形が間に合っていないという判断だろうが、親番では粘りたくなろうというもの。頭の下がる我慢である。

この局は、内川もポンで
待ち、
赤赤のテンパイを入れていた。互いに強い牌を切るもアガリは生まれず、白鳥はハイテイ手番で手詰まってしまう。

そもそも、白鳥の手には牌の種類が少なく、スジで持っているものも多い。リャンメン待ちの両方に当たりうるは、前者2つは手役が絡んでいない内川に危なそうで、
は
3枚見えでリャンメンで当たるなら赤またぎが確定、
もその可能性がある。また
はチャンタ模様の太にいやなところ。太の最終手出し
は
と字牌のシャンポンのケースが想定され、そうなると見えていない
が有力な候補になる。
は内川にも通る保証がない。
とてカンチャンで当たるケースは否定されていない。

白鳥が選んだのはだった。太の現物で、直前に仲林が
を切り、
3枚見えのワンチャンス。

これが内川に当たってしまう。ハイテイがついて、打点は3900から8000に。麻雀でもっとも打点上昇効率が高い1翻が絡んでしまい、白鳥が試合後まで悔やむ、手痛い失点を食うことになってしまった。
たとえば、ここで「5枚持ちのは危なそうだし、二人のスジの
を切るほうがマシでは」みたいなことを言うのはたやすい。ただ、当然その考えはあったはずだし、本人も検証をするだろう。出てしまった結果は変えられないが、それはこの先に生かすしかない。

その後、白鳥は東3局に満貫ツモで点数を回復し、場面は東4局1本場に移る。ここでは仲林がポン
ポンで注目を集めていた。

白鳥は薄くなったをチー、タンヤオへと手を進めて応戦。

その後、白鳥・仲林が共にテンパイを入れる傍らで、太も待ちテンパイ、静かにダマテンとした。マンズホンイツの仲林はもちろん、それが分かっている脇の2人からも、ソーズは比較的切られやすそう。それをリーチで止めてしまう手はなく、打点もピンフドラ赤赤で十分だ。

は白鳥にトイツだったが、仲林に切りにくい
をつかんだことで迂回ルートとして選ばれてしまう。

8000点のアガリは、太はしてやったり、白鳥には激痛。

そして、南1局の攻防である。
白鳥は序盤にして1シャンテン、浮き牌のを切ってマンズ889を厚く持った。もちろん3メンチャンテンパイが理想だが、序盤からマンズの上目が切られていることで、ペン
待ちも悪くはないという判断。

3メンチャンから埋まると、ペン待ちでリーチを宣言。ツモからリーチまで一切のよどみがなく、あらかじめ決めていた選択であることが分かる。実際、リーチ時点で
は3枚残っていた。こういう手をしっかりツモれれば、加点はもちろん、気持ちの上でも悪くない状態で親番を迎えられる。

しかし一発目、白鳥が引いたのは、。雀頭で、
とのシャンポン待ちに受けていれば一発ツモだった。
2枚切れで、片方が目に見えて枯れたシャンポン待ちに受けろというのは、もちろん絶対にない選択とは言えないが、酷な話だ。そんなことをしていては、時折勝てることはあっても、長期の勝率は下がってしまう。

けれども、今欲しいのは結果。意味がない話だが、白鳥の河に並んだがむなしい。

一方の太は、の後付けに向かおうとしたが、アガれない
が重なって役なしのテンパイになっていた。そしてリーチを受けて
を暗刻落とし、その最中で白鳥を避けるように現れた最後の
を止める。

終盤にを切ればテンパイ復活という場面があったが、
のトイツ落としで迂回。
が直前に通っていたが、
切りリーチにペン
待ちの可能性を見ての選択だった。