熱論!Mリーグ【Tue】
「ベストバランス麻雀」
完全復活へ…
松本吉弘の価値ある連投
文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2020年2月4日
2020年に入ってからの渋谷ABEMASには黄信号が点灯していた。勝ち頭であるはずの多井隆晴と白鳥翔両名が奮わなくなってしまっていたのだ。
ABEMASの今シーズンというと、開幕以来なかなか展開に恵まれず個人成績でも下位に沈んでしまっていた松本吉弘と、その負債を帳消しにしてあまりあるだけ多井・白鳥で勝ちを積み重ねるという感じで来ていた。今年から加入した日向藍子もポイントを勝ち越しこそしてはいないものの、大きく崩れることなくサイクルに参加してチームと松本を支えるのに一役買ってきた。

その中で多井・白鳥の不調はチームとしても非常にまずい状況であったのだが、先週の試合で松本が自身の辛い時期を支えてくれた恩返しとでも言えるような、念願の個人2トップ目を獲得することに成功した。

飛躍する時は今しかない。多井の為、日向の為、白鳥の為、チームのため、何より応援してくれているファンがいる。ABEMASからは松本が送り込まれた。
1戦目

【東1局】

親の園田がをポン。

ここは打として、打点を見た遠いホンイツの仕掛け。前巡の
がアクセントになっている。

それを受けた松本、ここは打とした。
4巡目にして河が派手な園田の仕掛けに対し、ポン出しの周りである
を絞って
を先打ちした形だ。ドラ
も
も浮いている面子無しのこの手で、安易に親の手を進めるような切り出しはしない。

2巡後重ねたを……

切る!
これも親の手出しを意識した守備的な一打だ。
園田は→
と切り、当時1枚切れの
を手に残していたことが分かる。しかもその
が二枚切れの安全牌になったにも関わらず、切っていった。
ここから園田の手がある程度早いか、トイトイやホンイツといった手役を作りに行っていることが読める。いずれにせよノー面子である自分の手では間に合わないだろう。丁寧に、回っていく。

次巡重ねたのは自風でドラの。

ここでも目一杯にはせず、今通ったと園田の河の早い二を頼りに
を切っていった。それほどまでに園田の今局の仕掛けを重く見ているのだろう。押している勝又も気になっているのかもしれない。

次巡持ってきたのは。ここは……

なんと打!完全に降りだ!
ターツ落としが入った勝又、園田の仕掛けの前に完全にスピードが間に合わないという判断だろう。後の安パイを残すためにも、切り等でお茶を濁すことなく完全なる降りを選択した。

次巡園田から出たこのも……

当然スル―。手出しでが出てきた今、自分の手では間に合わないだろうという疑惑が90%から100%に変わった。

こうした松本の素早い対応による絞りもあり、親の園田もテンパれない。この局は全員ノーテンで流局する。
松本のベストバランスと呼ばれる麻雀。その繊細な受けの部分が如実に見られた一局であった。

そんな松本へのご褒美とでも言いたくなるような、次局の東2局親番でのこのアガリ。
リーチ・ツモ・ドラそして裏ドラが3枚。6000オール。

その後も親の仕掛けとリーチに対応した中での値千金のフリテンツモや……

2着目の瀬戸熊のリーチを躱す、タンヤオ七対子の直撃で
