ましてこの配牌から……
こんな条件の満たし方をしてくる、ハングリーモンスターが巣くう魔境の中においては。
醍醐も無骨な並びシャンポンながら、前巡に聴牌を入れていた。
「最終局面、もう押すしかない。」
実況の松嶋の悲鳴にも似たその一言。聞こえないながらも醍醐の脳内でも同じ結論が出ていただろう。後は託すだけ。
最後の捲り合い、どちらも待ちが山に残っているくじ引きで、神が先に積んでおいたのは……
あの日と同じ、
フェニックスを救っただった。
待ち望んだファンファーレ。チームにいい空気が流れてくれるかもしれない、まさに待望された男のトップ。
これほどまでに苦しかった、そして嬉しいトップはないのではないか。
深い付き合いの解説:河野ですら「あまり見たことない表情」と称した試合後の醍醐。
感じ続けてきた緊張の緩和、その心中は到底我々の計り知れるものではないだろう。
「応援してくれた人に『トップ取ったよ!』と言えるのが嬉しくてしょうがない」
インタビューで醍醐はそう語った。醍醐も醍醐ファンたちも、これまでの鬱憤がようやく晴れたといったところだろう。
だがもちろんこれで終わりではない。これからも数々の強敵との邂逅が待ち構えている。
カタルシスはまだ始まったばかりだ。
醍醐とファンの大冒険は遂に最初の一歩を踏み出した。
勝利ポーズはまだまだ練習中……
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