困難は最高のスパイス 猿川真寿の目は まだ死んではいない【Mリーグ2023-24観戦記 1/16】担当記者 ZERO / 沖中祐也

この選択が奏功し、→と捉え

2000/4000のツモアガリで猿川の後ろにピッタリとつけることに成功した。
テールトゥノーズというやつだ。（＝尻尾が鼻の先の意）

さて、言いたいだけのことを言ったラス前（南三局）
「あれは焦ってしまったかな」
と猿川が一抹の後悔を残した選択がコチラ↓

カンをツモってイーシャンテンとなった場面。
ここで考えられる選択肢は３つ。
カン、打、打である。

牌図で見てみよう。

上家の滝沢がダブを仕掛けていて、捨て牌が濃い。
ピンズのホンイツかどうかはわからないが、テンパイしている可能性は高く、その中でと切っていくのはかなり厳しいと言えるだろう。

にくっついたところでと切っていけないのであれば…

と、のカンツを残してをリリースする。
この時点で猿川はをツモってきたらを暗槓してリーチしようと考えていた。
しかし、ツモってきたのは

の方。
待ちになったの周りは誰も切っておらず、無情報。
がゆえに、情報がある箇所と比較して相対的に苦しい受けと言える。

「ここまで応援されることは今までになかった」
家族、ファン、サポーター… これまで自分のためだけに打っていた麻雀だが、多くの人の想いを背負って打つようになった。

だからこそ一つのアガリがほしい。
だからこそ一つのトップがほしい。

猿川は心からアガリを渇望した。
その乾いた気持ちが４枚を前に倒させてしまったのかもしれない。

「カン」

確実に打点を上げ、リンシャン牌を見る権利。
私は必ずしも間違いだとは言えないと思う。

だが、結果は最悪だった。

リンシャンからを掘り起こし

そのが滝沢へストライク。さらに新ドラまでプレゼントし3900の放銃となった。
滝沢からするとおせち料理を振る舞われた上にお年玉までくれたようなものだ。

あれ、この放銃でトップの行方はどうなった？

なんとオーラスを迎えて猿川と岡田が全くの同点になったのだ！

極上のいたずらリーチ

今季のMリーグが始まり、一つの季節が過ぎ、たしかにBEASTも自身も厳しい状況にいる。
しかし猿川にとって、このような状況はいつものことだ。

初めて雀荘で働いたときも
初めてプロになったときも
初めて放送対局を打ったときも

猿川は勝てなかった。
普通の人なら心が折れるほど負けた。
だが、猿川は諦めない。
負ける原因を突き止め、戦略を立て、そしてその戦略を遂行した。

（追憶のM　漫画・しおざき忍　原作・ZERO）

困難は人生における最高のスパイス。
猿川は困難を楽しんでいた。

そして雀荘でもリーグ戦でも放送対局でも勝つようになったのだ。

オーラス、アガリトップで迎えた猿川にテンパイが入る。